「運転手さんのお薦めのラーメン屋さんはどこですか？」
って訊ねたら、駅から随分と離れた、それこそ歩いては行けないようなラーメン屋を紹介されたことがあったんだけど、
その時は心のどこかで、
「そんな遠い所紹介して、またまたタクシー代せしめようって魂胆か？」
なんて、ちらりと思いながらも
「それじゃあ、明日時間があったら行ってみますよ！」
と笑顔でごまかし、それから遠慮がちに
「駅から近い所でお薦めはないんですか？」
と、訊いたわけだけど、
その時の運転手さんの答えが、とても印象的だった。
「お客さん、駅からすぐなんて所には、ラーメン屋に限らず、旨くて安い店ってのは無いもんだよ。」
結局その時は、その運転手さんのお薦めのラーメン屋には時間がなくて寄られなかったわけだけど、その二年後、改めてその街を訪れ、「そうだ、この機会に！」と運転手さんお薦めの店を伺い、食べてみて、やっと彼の言っていた意味を知り、少しでも、疑った自分が恥ずかしくなった。
「駅からすぐの所に、旨くて安い店ってのは、無いもんだよ。」
別にそれはその街に限った話じゃなくてさ・・・・
そういうわけで、美味しくて良心的なお値段のお店ってのは、駅からちょいと離れた所にあるものなんだ。
だから「駅から5分、閑静な住宅、日当り良好」、なんて文句を信じて借りたものの、実際は駅からタクシーで5分、徒歩だと30分、しかも坂道、「畜生騙された、あの不動産屋！」なんて腹わた煮えくり返らせてる貴男に貴女。
まあ、まあ、まあ、まあ・・・
ちょいと周りを見渡せば、見過ごしていた素敵な店が、あるかもよ♪