こんにちは。

Marinecouver(マリンクーバー)です。


月曜日の朝から
重たいタイトルですみません。



とっても不謹慎かな…
と思いつつ、
興味ある方も
もしかしたらいらっしゃるかも…
と思い今日の記事にしました。



私は、航空貨物のお仕事に従事してきて、
日本から出す方(輸出)をメインにしていたので、
必ずしも今回の件と一致する訳では無い
ということもご承知おき頂ければ幸いです。




アフガニスタンの
生活の向上に尽力された、
中村先生が、
無言の帰国となりました。




情も何も無いな…と思われるかもしれませんが、
ご遺体は「貨物」として取り扱われます。


これは、IATA(イアタ)、
国際航空運送協会という協会が定めています。


ルールブックという、
何百ページにもなる分厚い本があって
(英語で書かれています)
それに基本は則って運送されます。



これ最近、
見たことないですっていう
貨物マンもいるらしくて、
なんだかなぁなんだけど。



それが、ベースで、
プラス、航空会社規定という
航空会社が独自に決めたルールが
乗っかります。


海外旅行に飛行機で行く時もそうなんですが、
意外と、全てのことが、
ガッチガチにルールで
締め付けられています(笑)


そう、でね、
ご遺体は、貨物としてしか運べなくて、
運送業者が間に入って、
Air Waybill(エア ウェイビル)
という送り状を発行します。

船はWaybillなんだけど、
航空だから、
Airがつく。


普通の一般貨物については、
「全ての物に価値がある」
という前提で、
輸送しようとしているものは、
いくらですと、金額を申告するのだけど、
ご遺体については、
人間に価値は付けられない
という理由で、
特別な通関手続きが行われて飛行機にのります。


みんなが海外にいくときは、
パスポートを持っていくけれど、
お亡くなりになったので、
大使館が、
パスポートを失効させます。
そして、お亡くなりになりましたという
証明を出します。


日本からお送りする時も、
警察や病院からの
死亡診断書が必要です。


そうして、
一連の手続きを取られたあと、
お国に出発されます。



ちなみに、ご遺体が入ると、
搭載の順位はかなり優先されます。


どれだけスペースがいっぱいでも、
優先順位の低い貨物を落として、
ご遺体を搭載します。
(だから航空運賃も割引が効かないの…)


そして、ご遺体の上だの下だのには、
基本は他の貨物を乗っけたりはしません。

一般貨物は、
すんごい計算されて、
パズルのように、
飛行機の貨物室の形に合わせて、
詰め込まれていくんだけどね。


そんな感じで、
運ばれていくのですが、


飛行機って、
駐機場(スポット)に止まって、
そこまで貨物が、
貨物地区から運ばれてきて搭載されるので、
飛行機が貨物地区に寄ってく訳では無いので
ターミナルにいる旅客から、
積んでるとこ見えちゃうんですよ。



そして、ご遺体の上に
自分たちが乗るというのは、
いい気持ちしない方もいらっしゃるため、
航空会社から、
ご遺体だと分からないように、
カバーをかけてくださいと
言われることがあります。


見る人が見ると
大きさ的に分かっちゃうんだけど…



(飛行機って、
筒になった下半分が貨物室で、
上半分に旅客が乗ります)



わかるかなぁ?
手前に持ち上げられてるのは、
機内食とか客室に上げられてるんだけど、
奥の尾翼のところにドア開いてて、
そっからエスカレーターみたいのでてるの。
これ貨物室のドア。



今回は、
きちんと白い布で覆われて
堂々と降りてきましたので、
関係者の皆様の追悼の意も
表れていた気がします。



どうしても、
お棺は、
大きさも重さもあるため、
飛行機にのせるのに、
人が必要になります。
フォークリフトで刺して
乗り降りする訳にもいかないのでね…


だから、
主要空港は対応してくれますが、
小さな空港、
また貨物室がちっちゃな飛行機しか
飛んでない場所、
それだけのマンパワーが用意できない空港
はお断りされる場合があります。



そんなこともあって、
ドバイだったのかなぁとも。



直行便がない場所は、
最終目的地まで、
運べるか、

また別のこれまた分厚い、
全世界のフライトスケジュール載ってる本
めくりながら、
「この便ならこの機材飛んでるから、
搭載出来ませんか?」
って航空会社と交渉してスペース取ってもらう。



海外だと時差もあるし、
到着後速やかに対応出来るかとか、
検討してもらって、
最悪、近くの大きな空港までは運ぶから
そこまで取りに来てっていうこともあります。



なるべく早くお返しをしてあげたいので、
航空会社も、運送業者も、
ご遺体輸送の案件が入ると、
けっこう、かかりっきりになります。


先生の件については、
通常以上に、
大使館やアフガニスタンの方々が
間に入ってお手配進められたのだろうなと
推測します。




そんな特殊な輸送も
そういえばやってました私(笑)



今は、起業したりして、
全然離れちゃったけど、
職業病かな、
気になっちゃったりはします。


最後に、
アフガニスタンに尽くされた中村先生の
ご冥福をお祈りします。