【台湾の壮大な風水風景 「中山樓」】
風水専門書の中に出てくる絵図面ような風水景観を、肉眼で見ることができる貴重な場所。
台北の北部にある陽名山麓に、中山樓という建物があります。
風水的に良い立地が選ばれて建設されたという情報を事前に入手し、純粋に「台湾の風水風景が見たい」という思いで、陽名山トレッキングの後、楽しみに訪れました。
陽名山を一緒に歩いたトレッキングチームのメンバーの一人が、私が沖縄で風水師として仕事をしていることに興味をもってくださいました。
そして、『私も一緒に中山樓に行きたい』と言って、陽名山を下山した後、一緒に中山樓へと向かいました。
台湾のトレッキングチームのメンバーに、私が『中山樓に行きたい』というと、みなさんに不思議な顔をされました。
「なんであんなところに行きたいの?」
「一度も行ったことないし、行きたいとも思わない。」
なんというか、「台湾の方には、あまり愛されていない建物だな」と、うすうす感じながらの見学でした。
実際に訪れてみると、四神相応の見事な立地条件で、建物の周りは、形の良い山々に取り囲まれ、玄武、青龍、白虎、朱雀に護られています。
日本でいうところの、国会議事堂や迎賓館として利用されていた建物とのことですが、台湾が政治的に風水をどれだけ重要視していたのかを感じる建築です。
立地条件はもちろんのこと、建物配置、向き、間取り設計、そして内装にも、いたるところに風水を読み取ることができます。
首里城正殿のシーサーもマリを持っていますね。
鳳凰。中国語で、フォンファン。フォンが雄で、ファンが雌。
100元札に描かれている場所です。
風水建築を学ぶ立場としては、非常に刺激的な時間を過ごしました。
しかし、うすうす感じていた台湾の方の中山樓に対する感情が、ずっと氣になっていました。
この中山楼を訪れた時、私の勉強不足で、この建物が建てられた当時の台湾情勢を、詳しく理解していませんでした。
ただ、当時の状況がどのようなものであっても、風水師として一つ語れる言葉あり、一緒にいた台湾人の方にこう伝えました。
『この中山樓という建物は、数千年に渡り受け継がれてきた風水のスキルを学ぶ上で、非常に重要な建築である。
しかし、物事の成功は天地人の和合により総合的に得られるものであり、風水は、天地人の中の、地文学という一つの要素にすぎない。
中山樓に限らず、風水建築をみる時には、風水のスキルだけで判断せず、その建物がもつ時の運や、天命、利用者する人たちの学ぶ姿勢、徳を積み重ねようという姿勢など、天地人を総合的にみて欲しい。』
旅行に行き、その国の方と話す時は、歴史的背景、政治的背景を勉強しておくことが非常に重要だと感じます。
特にアジアの国々は、戦争の影響で、日本人に対して複雑な想いを抱いており、これまでもなんとも言えない思いをたくさんしてきました。
風水を語るとき、それは、国の命運を左右し、政治とも大きく関わっているので、発言も慎重になります。
ただ、表面的な知識よりは、人間として確固たる軸を持ち、人生哲学があり、相手の文化に対する配慮があれば、どこの国の人とも円滑なコミュニケーションをとることはできると思います。
台湾は、日本人に非常にやさしい国で、何度も訪れたくなりました。
そして、中山樓のような壮大な風水建築を見たことで、今後はより大きな建築にチャレンジしていきたいという夢を抱きました。