〉蠟梅や猟犬二匹眠るなり
季語……蠟梅……冬
ブロ友さんが「蠟梅」の季語で
見事な俳句を五句詠まれ、刺激
を受けて一句詠んでみた
秘境の林道の終点に少し広い
空き地があり、蠟梅の木が
立っている
もう少ししたら花開き、甘い
香りを漂わせることだろう
今から何年か前、毎年秘境に
やって来る猟師さんが母を
訪ねて来た
「可愛がっていた猟犬が年を
取って死んでしまいました。
寂しくて仕方ないけど、せめて
自由に走り回っていたこの土地
に葬ってやりたいんです」
その猟犬は二匹、ポインターと
セッターで毛艶のいい人懐こい
犬だった
犬種が違うのに、母はいつも
「仲のいい親子だね」と勘違い
しながら撫でていた
猟師さんは何十年も遠方から
やって来て、猟犬を連れて山々
を歩いていたが、滅多に獲物を
仕留めたことはない
母にはたくさんの食べ物を
買って「食べてよ」と渡して
くれ、母も季節の野菜を
持って帰ってもらうのが常
だった
猟犬のお骨は蠟梅の木の根元に
納められ、白い石と竹筒には
小さな花が生けられた
数年後にはもう一匹の猟犬も
同じ場所に眠るようになった
今年の初め、猟師さんは寂し
そうに一人で母を訪ね、時々
一緒に来ていた奥さんが暮れに
亡くなったことを告げた
「寂しくなられましたね。
どうか気を落とさないで、また
いつでも話しに来てください」
どんな慰めの言葉も今は届か
ないかも知れないが、春に
なれば少し元気になって訪ねて
来られるような気がする

