母の手に負へぬ栗なり皮を剥く
季語……栗……秋
木守柿までも喰ふかや猿の群
季語……木守柿(こもりがき)……秋
※ 鈴なりの柿は晩秋の風物詩。
収穫のとき全部取らず、一つ木に
残しておくのが木守柿。
秋もたけなわ。
様々な果物や木の実があふれる季節。
毎年、この時期は夜更かしして、母は
収穫した西条柿や、栗の皮を剥いて
冬に備えるのだが……
あれほど器用だった母の指は曲がり、
長く座ると脚が運べなくなる。
伯母がたくさんの栗を送ってくれたが、
母は剥いて加工するのを諦めて、大半を
私に持たせてくれた。
母が作る栗入りおこわの味は絶品❗
この味を堪能したい私は、母に代わって
せっせと栗の皮を剥く。
昨日は、秘境の実家に叔父夫婦が尋ねて
くれて、夕方まで長い竹のハズを使って
西条柿を収穫していたそうだ。
母と叔母も、叔父が採った柿を運んで
家に帰ってみると❗
さっきまでは確かにたくさん残っていた
前の畑の西条柿が、跡形もない❗
何と、僅かな隙をついて、猿が残って
いた柿を根こそぎ盗って行ったらしい❗
その西条柿は、足が痛む母が採りやすい
場所に残していたものなのに……
でも、猿を恨んでも、憎んでも仕方が
ないのだ。
山深い場所で生きていくには、へこたれ
ない強い気持ちと、どこかで諦める
潔い気持ちを併せ持たなければいけない。
きっと母は、長い人生で学び、いつの間
にか身につけたのだろう。
今夜は、私も夜更かしして栗の皮を
剥こうと思う。