句作その309…栗剥き作業 | まりんぼったの独り言

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ヨウムのまりん(2000年生まれ)との日々…
笑ったり、怒ったり、ひたすらにぎやかな日常の中で、私(なまちゃん)の日々も流れて行きます。
調子に乗って、俳句、短歌、川柳、小説なども。
秘境に1人暮らしをしている母も92歳になりました。



 


 母の手に負へぬ栗なり皮を剥く


 季語……栗……秋




 木守柿までも喰ふかや猿の群


 季語……木守柿(こもりがき)……秋

 ※ 鈴なりの柿は晩秋の風物詩。
   収穫のとき全部取らず、一つ木に
   残しておくのが木守柿。


 







 
 秋もたけなわ。

 様々な果物や木の実があふれる季節。


 毎年、この時期は夜更かしして、母は
 収穫した西条柿や、栗の皮を剥いて
 冬に備えるのだが……


 あれほど器用だった母の指は曲がり、
 長く座ると脚が運べなくなる。


 伯母がたくさんの栗を送ってくれたが、
 母は剥いて加工するのを諦めて、大半を
 私に持たせてくれた。


 母が作る栗入りおこわの味は絶品❗

 この味を堪能したい私は、母に代わって
 せっせと栗の皮を剥く。



 昨日は、秘境の実家に叔父夫婦が尋ねて
 くれて、夕方まで長い竹のハズを使って
 西条柿を収穫していたそうだ。

 
 母と叔母も、叔父が採った柿を運んで
 家に帰ってみると❗


 さっきまでは確かにたくさん残っていた
 前の畑の西条柿が、跡形もない❗

 何と、僅かな隙をついて、猿が残って
 いた柿を根こそぎ盗って行ったらしい❗


 その西条柿は、足が痛む母が採りやすい
 場所に残していたものなのに……


 でも、猿を恨んでも、憎んでも仕方が
 ないのだ。


 山深い場所で生きていくには、へこたれ
 ない強い気持ちと、どこかで諦める
 潔い気持ちを併せ持たなければいけない。

 
 きっと母は、長い人生で学び、いつの間
 にか身につけたのだろう。


 今夜は、私も夜更かしして栗の皮を
 剥こうと思う。