ドイツでは、大学ではなく幼児教育専門学校で学んで先生になる人もいる。
アンナさんはもともと幼稚園の先生をしていたんだけど、いまは幼稚園の先生になりたい大人を教える先生をしている。
彼女には二人の子供がいて、16歳のニコくんと、13歳のリナちゃん。
二人ともとても礼儀正しくて、小さい子の面倒見も良いし、よく気がつくし、勉強も頑張る、自分の目標もそれぞれ持っている、素敵な子たち。
どう育てたらこんな風に育つん?と思うくらい、とてもしっかりしています。
お兄さんのニコくんはとても穏やかでジェントルで、時折おもしろい話もしてくれる、さわやかな16歳。(日本の学校に来たら9割の女子はハートを射抜かれると思う)
そんな彼は小さい頃、よく癇癪を起こし、何でも自分でやらないと気が済まない、いつも泣いたり動き回ったり、大変手のかかる子だったそうです。
ベビーマッサージに連れて行くと、ベビーマッサージどころではなく大暴れ。
とにかく触られるのが嫌、音に敏感で騒がしいところでは落ち着かない、じっとしていられない、今の穏やかな姿からは考えられない様子だったそうです。
アンナさんは自分が幼稚園の先生であったこともあり、様々な本を読んで情報を集め、その中でシュタイナー教育を参考にしたと言っていました。
アンナさんはニコくんのために、
家ではとにかく静かで穏やかな環境を作る事を意識したそうです。
・テレビをつけない
・音楽も鳴らさない
・音の鳴るおもちゃは置かない
・できるだけ静かに過ごす
・光の強い物は置かない
・リズムのある(規則正しい)生活を送る
・ゆっくり穏やかに話す、動く
・散らかさない(整った落ち着ける環境を作る)
ざっとまとめるとこのような感じ。
刺激があることがストレスになるニコくんのためにとにかく刺激の少ない環境を作ったそうです。
規則正しい生活は、「何時にご飯」と厳密に決めるのではなく、だいたいの時間や順番を流れるリズムの様にすることで、ニコくんが安心して過ごせるようにしたそうです。
すると、少しずつ癇癪を起こす回数は減り、穏やかに過ごせる時間が増えていったそうです。
16歳になった今、ニコくんは片道一時間を自分で望んで自転車で通っているそうです。
ベルリン郊外の家から学校まで、森を抜けて自転車で通うことで、リフレッシュできるとのこと。
彼にとって学校は、大人数で過ごし、一日に様々な授業を受ける刺激の強い場所。
その中でも彼はしっかりと授業で学んだことを身につけ、成績も常に上位だそうです。
通学で森を通ることは、自分の中のストレスをリセットするために必要なことはだそうです。
そんな風に自分で自分のコンディションを整えられるように成長したニコくん、幼少期のお母さん(アンナさん)の努力は、ニコくんの助けになったのだなあと思いました。
落ち着かない子どもに対して、ついつい大きな声で叱ってしまうことってありますよね。
叱るのって大人も体力いるし、お互い悲しい気持ちだし、できれば叱りたくない。
↓
でも、言っても子どもが聞かないから叱る。
↓
どんどん強く叱らないと聞かなくなる。
↓
自分も疲れてイライラする
↓
また叱る
↓
自己嫌悪
↓
負のスパイラル!!!!
急に全部変えるのは難しいけど、
静かな環境を作ることと、リズムのある生活をするのは、やってみると良いかもしれませんね。
話は変わりますが、
小学校二年生の担任の時に
「みんなで「静か」の音聞いてみよう!」
て言ってみんなで一言も話さずに「静か」の音を聞きました。
最初は一分が限界。
「なんも聞こえへーん!」
と言っていた子どもたち。
でもちょくちょくやってると段々と「静か」の音を聞けるようになってきて、どんな音が聞こえたか聞くと、
初夏には
「葉っぱのさやさやする音」
「扇風機の羽の音」
「遠くの他の教室の音」
「虫の飛んでくる音」
など、色々話してくれました。
「静か」を知ることで落ち着くことができる。
「静か」の音を聞いた後の子どもたちはとても穏やかな表情をしています。
現代の子どもたちは日々、強い刺激に囲まれて、それがいつしかストレスとなって知らぬ間に心やからだの中に溜まっていくのかもしれません。
子どもたちが安心してリラックスできる環境を作るのも大人の役目ですね。
アンナさんの子育て、参考にしたいと思います!