実習で得た学びをまとめるのにパソコンを使うのですが、その指導がめちゃくちゃすぎます。


  病名だけを手書きする意味


実習まとめでは、個人が特定されないような書き方を指導されます。


Aさんは自宅で転倒後、大腿骨頸部(脚の付け根の骨)骨折と診断された。人工骨頭置換術によって手術を行い、現在はリハビリを行い、ビスフォスフォネート(骨粗鬆症の薬)で骨粗鬆症の治療を行っている。



こんな感じなのですが、なぜか赤字の病名の部分だけはパソコンで打ってはならず、空欄のまま印刷して手書きするそうです。術式や、薬の名前はパソコンで打ってもOK。


確かに、看護学生のパソコンから病名が入った実習資料が流出する事で、個人を特定した形で情報が漏れることがあるかもしれません。担当患者さんが例えばものすごいVIPの方で、病気情報を狙って看護学生の実習記録を狙うということも全くゼロというわけではない。


ですが、個人情報を秘匿するなら術式や薬の名前も隠さないと意味がないのでは……?と思います。たとえ病名が空欄でも、病気が発覚した経緯や術式や薬から、隠している病名の見当がついてしまう。


この資料、クラスの人数分を用意するので疾患名を何十人分も手書きする必要があり、あまり効果がなさそうなことに大きな労力をかけなければならないのが辛いです。



  USBメモリ上でのみ編集する


デスクトップ上にWordファイルがあると、One Driveなどのクラウドサービスに自動同期されてしまうことがある。USBメモリ上でのみ編集を行い、デスクトップなどに移して編集してはいけない。らしいです。


問題点はいくつかあります。


①USBメモリは保管するためのものであり、編集する用に作られていない。このような機器には書き込み数に限界があるが、USBメモリの場合はパソコンの場合とは比べ物にならないくらい小さい。つまり、USBメモリ上で編集を続けていると、ファイルが破損するリスクが高くなるし、このような行為を推奨するべきではない。大学によっては、ファイルが破損しやすいのでUSBメモリ上で編集してはいけないと新入生向けに丁寧なお知らせを出しているところすらある


②クラウドサービスに同期されることが問題なら、同期をオフにすることを徹底するべきではないか。設定によってUSBドライブ上のものも自動バックアップされるのだから


③「クラウドサービスに同期されるかと危険」というが、看護学生が普通に使っているようなOneDriveやGoogleDriveなどの大手クラウドサービスをハッキングして流出させるのは、ハッキングしようにもハッカーの視点からすれば非常に困難です。学生がデータ入りUSBメモリをなくすリスクのほうがよほど高いです。


  バックアップ作成禁止


管理が煩雑になるので、作成したファイルのバックアップ作成は禁止だそうです。これが一番驚きました。


USBメモリ上で編集させて、ファイルが壊れたらまたゼロから作り直してねってことなんでしょうか。

デジタルファイルは壊れたり、うっかり上書きしてしまうものだから、必ずバックアップを複数取るように指導するのが基本です。

今、個人情報を握っているどんな企業だってバックアップを取っています。


なんだか、竹槍で戦闘機に立ち向かわされているような気分です。

個人情報の流出やコンピュータウイルスといったものが未知で巨大なものゆえに過敏になってしまうのは仕方がありませんが、なぜきちんと調べて有効な手段を取らないのか疑問です。


学生に「学習不足!」「根拠は?」と頻繁に言う教員ですが、そういう割に根拠も何もない文化が出来上がっていてお笑いにもなりません。


これが安さの代償なのかなと思います。


例えば大学のように、教員に博士号持ちがゴロゴロいるような所であれば、そして修士号や博士号を目指している大学院生がゴロゴロいるようなところであれば、最低限コンピュータの知識を持ち合わせているでしょうから、こんな指導はなかったでしょう。


教員はずっと現場で看護師をしていて、教員としては数ヶ月の研修を受けただけの人がほとんどです。もちろん研究訓練は受けていない。

大学院生のような、今どきの研究訓練を受けた若者もいない。

そもそもパソコンの立ち上がりに15分もかかるようなオンボロPCしか、学校にない。


全ては教育機関としてのこの学校にお金がないから起こっていると思います。

お金がないというより、うちは公立ですが、看護専門学校にはお金をかけた教育をしなくても十分だという国や都道府県からの意思の表れでしょう。


代えのきく安い歯車を量産できればそれで十分。


そんなメッセージがそこかしこから伝わってきます。

意味不明な要求をされて、これはおかしいという意見も許されず、ただただ従わなければいけないというのもとにかく辛いです。