私は、ジョニー・デップのファンである。

私生活はさておき、大好きな『パイレーツ・オブ・カリビアン』ジャックスパロウや、『ファンタスティック・ビースト』のグリンデルバルドが二度と観られないなんて信じられない。

たったひとりの嘘つきサイコパスのせいで。

彼は、54歳から6年もの間を台無しにされたのだ。

彼は、

『たとえ、僕の名誉が回復されても、僕は死ぬまでこの事件を背負っていかなければならない。死ぬまでね。』

まるで映画のワンシーンのようだった。

ボクトツと話す彼は、まるで『英国王のスピーチ』のジョージ6世のように誠実さと不器用さが滲み出ていた。

こんな人を陥れる人間の感性が理解出来ない。ああ、そうだった。

人格障害に感性は無い。


私の職業柄、彼の名誉回復の裁判におけるDr.カリーの人格障害判定もしくは詐病を見破るためのM M PI2TESTスケールは大変興味深い。

是非、勉強したいものだ。

いや、弟子入りしたい。


ジョニー、哀しいけれど身体を大事にして長生きしてネ。


蒼い瞳【第十九話】

速水光(深津絵里さん)がひとり、冬の海辺を歩いている頃。


激しい頭痛に襲われたミヤビ(イ・ジアさん)は、ケン・ソゴル(ソン・スンホン様)によって、フランス大使館から離れた帝都大学の研究室に戻っていた。



『気分はどうだ?』

『ありがとう。もう大丈夫。』

ミヤビは、初めて味わう激しい頭痛に自分で驚いていた。

何処かに吸い込まれそうになり、ミヤビ自身の存在が消えてしまいそうな気分だった。

ケン・ソゴルは、光の姿を思っていた。あの澄んだ歌声。




何故あの時、ミヤビは彼女の歌声に酷く反応したのか?

『一体、彼女は何者だ。』

そして、ミヤビの頭にはいつものあの声が聴こえた。

『BlackMatter、光と影』


草野(北村一輝さん)は、光を探していた。



『全く、何処に行ったんだ。』

草野の携帯が鳴った。

方崎(渡部篤郎さん)からだった。



『局長、なんですか?』

『草野、今すぐ警察庁に戻れ!今すぐだ。』

いつも冷静な方崎は、珍しく慌てていた。

草野が警察庁警備局に戻ると、大きなモニターに、世界地図が映っていた。

方崎は

『草野、お前、鷹埜ミヤビの警護をどうして外れた。』

『いや、あの、他にどうしても気になる事が・・・。それに、ミヤビさんにはケン・ソゴルが付いてますから。』

『アイツは、国情院の人間だ。日本がどうなろうと関係ないだろう。何故、外れた。』

『いや、局長、鷹埜ミヤビの他に、あの特殊能力を持ち得る人間はいますか?』

『いや。それはないと鷹埜教授(加瀬亮さん)は言っていたが。

それより、鷹埜ミヤビに変わったことは?』

『分かりません。』

『分からない?草野、見ろ。分かるか?今日の21時丁度、一瞬で日本列島の位置が動いた。少しだが。』

『えっ!』

『帝都大学で調査中だが、この日本の列島配置は、戦国時代のモノらしい。』

『どうゆうことです?それは。』

『別に、時代の中身まで変わった訳ではない。列島配置が変わったということだ。しかし、こんな事が出来るのは彼女だけじゃあないのか?鷹埜ミヤビに何があった?すぐ調べろ。今は、他国に情報が漏れないようにしている。ケン・ソゴルにも一切言うな。分かったな。』

こんな一大事でも、草野は光の事がどうしても頭を離れなかった。


光は、砂浜に座り海を観ていた。



すうっと、涙が溢れた。

自分の中に入り込んだ『悪魔の黒いエネルギー』

それを浄化するように涙が溢れた。

気が付けば、隣に誰か座っている。

美しい蒼い瞳のその人(ピーター・オトゥール)は、光がひとりの時、時々現れる。



彼は、光を諭すように静かに語りかけた。

『光。私達の宿命なのだよ。2000年以上の昔から、もう決まっていた事なのだから。』

『分かってる・・・。』

光は、静かに海を見つめた。

海の色は、その人の瞳と同じだった。



音楽は、手嶌葵さんの『Winter light』でお願いします。