サイエンスホラー大傑作『リング』『らせん』『ループ』の原作者鈴木光司さんが亡くなった。


私は、この3作はSFとは思っていない。

新型コロナウイルスパンデミックを予言していたかのようなこの作品は、3作品読んでこそのサイエンスホラーだ。


『リング』は怖かった。しかし、『らせん』『ループ』と読み進めていくうち、その怖さより科学的視点の素晴らしさに気づく。


この物語の面白さは、貞子の本当の狙い『ゲノムの単一化』である。

以前にも語ったが、単一ゲノムは線虫と言う生物。地球上に、実際存在する。

驚く事に、線虫のゲノム数は人間のそれと殆ど変わらない。

だから、科学の実験によく使用されるのだ。


如何せん、高山竜司(真田広之さん)が全ての作品に絡んでいるので、『ループ』の映像化は困難だが待っていた。

『ループ』では、ゲノム操作で高山竜司と全く同じ遺伝子を持つ20代の青年が主人公だ。

当然、高山竜司の特殊能力(予知、過去が見える、目に見えないモノが見える等)は健在である。


貞子の新型人がんウィルスを媒介するツールは、

『バースディー』カセットテープ

『リング』   ビデオテープ

『らせん』   マスコミ、日記

『ループ』   パソコン

と時代と共に変遷していく。

今なら、SNSといったところか?

秀逸なのは、『らせん』のラストは『ループ』のラストと繋がっている。

続編も読みたかったなぁ(涙)

非常に残念でしかたない。


  高山竜司(真田広之)

彼女のいない時間4

【第27話】

2002年、ある日の午後、帝都大学医学部研修医の的場幸広(吉岡秀隆さん)は、帝都大学理工学部助教の鷹埜和彦(加瀬亮さん)と和やかに話しながら帝都大学内を歩いていた。

的場は、脳科学の研究者であったが、医師としてのセカンドキャリアをいちから積んでいた。


『いつも、済まないね。私は、ミヤビ(イ・ジアさん)の事で君に無理させていないか?』

『先生、急にどうしたんですか?何かあったんですか?』

『いや・・・』

鷹埜は、哀しそうに空を見上げた。


話を逸らすように

『そうだ、息子さんは元気かね?蒔希さんが亡くなってからもう1年かな?』

『はい、息子は、5月で1歳になりました。少し喋りはじめまして。』

『可愛い盛りだね。そんな時に、ミヤビの面倒を観させてしまって』

『僕は、一応、医師ですから。当然です。』


『今、彼女の研究は佳境らしくてね。私は、未だ認めてはいないのだが。

彼女の暴走を止めるのは不可能に近い。せめて、コレ以上危険を犯さぬようメンタルの安定を確保したいんだ。君にしか頼めないんだよ。』

『分かってますよ、先生。彼女が無意味にテレポーテーションやタイムリープをしないよう、しっかり見守ります。』

『アノ娘の不安定さは、遺伝的なものでね。どう仕様もないんだ。』

的場は、遺伝的な?特殊能力のことか?どうゆう意味だろうと怪訝に感じた。

親子で似る事はよくあるだろうがどうやらそんな簡単な事を鷹埜が言っているように思われない。

『確か、ミヤビさんは先生のお兄さんのお子さんデスよね?』

『そうなんだ。問題は、父親ではないんだ。そう・・・。』

そこまで言って、鷹埜が黙った。彼の顔は今まで観たことが無いくらい憎悪に満ちていた。

『だから、真っ当な君と接していれば、ミヤビの未来は変わるかもしれない。』


的場には、鷹埜が言っている意味が理解出来なかった。

『僕の真っ当さ?』

確かに、僕は平凡な人間だ。

特殊能力などあるわけではない。

『未来?』

鷹埜には、ミヤビの未来が分かっているのか?


今日も宇宙が青い。


 鷹埜ミヤビ(イ・ジアさん)

  鷹埜和彦(加瀬亮さん)

  的場幸広(吉岡秀隆さん)

その頃、ケンブリッジのある地下室ではひとりの若者が鋭い眼差しでモニターを観ていた。
『そろそろだな』
彼は、地下室から外に出た。
空はどんよりと曇っている。
『ケン、何してんだよ?』
大学生と思われる青年に話しかけられた途端、彼の表情は立ちどころに変わった。
『腹減ったよな。Launch行こうぜ!』
といたずらっぽく微笑んだ。

ケン・ソゴル(ソン・スンホン様)