第021話 贅沢な塊
「この服超かわいくなーい?」
「かわいぃ~~~!」
「私ピンクにするから美咲ブルーにすれば?」
「丸井のカード限度額上がったもんね。買っちゃおうか!」
「あ!でも、こっちのもかわぃぃよぉ~!」
「あー!本当だぁ。私両方買おうっと!」
「まじかよ!じゃ私もぉ。きゃはは」
生活はみるみる派手になっていった。
あらゆる感覚が麻痺していく。
遊びに行くのに二度と同じ服は着なくなった。
ネイルサロンで磨き上げた爪は
いつもラメやラインストーンで縁どられている。
どんなに短い距離でも
タクシーに乗るのが当たり前になっていた。
私は坂道を転がる一つの球体だった。
加速度をつけて転がるたびに付着していくものは
膨大な数の洋服
ブランド品のバック
アクセサリーや宝石・・・。
膨れ上がった贅沢な塊は
さらに拍車をかけて転がり落ちていく。
ディスコで女王様の地位を
守り抜くためには
一番である必要がある。
他の誰よりも
豪華で贅沢の限りを尽くした
眩しさが必要なのだ。
私達はようやく手に入れた
居心地の良いその場所に
必死でしがみついた。
女達のサバイバルは容赦ない。
ディスコはまさに戦場だ。
イケイケギャルにカテゴライズされる女達の意識は
全てが同種類の女にしか向けられていない。
男などは片目の端にも映りはせず
完全に存在そのものが抹消されていた。
『どの女にも絶対に負けられない!』
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