第086話 ヤクザのお仕事
「仕事?聞かない方がいいんじゃないか?はっはっは」
「えー!そう言われると余計聞きたくなるじゃん!
まさか、殺し屋とか!?」
「おまえは本当におもしろい子だね。ははははは」
「もぉ!ちゃんと教えて?ねぇ」
パパはそれから自分の事をいろいろ話してくれた。
今のヤクザは企業ヤクザで
商社並に多種多様な事を手がけているんだ。
とか
俺はインテリヤクザだからな。
なんて冗談めいた事を言っていたけれど
「本当は何してるのよ!」
と私がせっつくと
自分が直接やっている仕事は
ホテトルと裏ビデオの宅配だと白状した。
歌舞伎町のシマは
全てパパが取り仕切っていて
電話一本でお客さんのところに
女やビデオを届けるそうだ。
もちろん
それらの仕事はパパがやっているわけではない。
実際に動いているのは若い衆や雇っているチンピラで
パパは事務所に顔を出すだけだ。
それから
深夜になると本家の親分さんと一緒に
歌舞伎町にある飲食店を回ってカスリを徴収する。
カスリというのは
『けつもち料』なのだとパパは教えてくれた。
何かトラブルがあった時には
面倒を見るという事らしいけれど
たんに売り上げをかすり取っているだけだろう。
とにかくそういうお金が
私のお小遣いになっているのが解った。
パパと歌舞伎町を一緒に歩くと
歌舞伎町の住人はみんな頭を下げる。
ポン引きや客引き、スカウトや黒服、
ホストらしきお兄ちゃん達も
パパが通り過ぎるまでは
絶対に顔を上げない。
パパの存在を発見した途端
顔を引き締め
腰を深く折り曲げて
その状態のまま静止している。
私はそれが気持ちよくて
パパと歌舞伎町を歩くのが何よりも大好きだった。
ディスコのお立ち台で注目を浴びる喜びが
バージョンアップしたかんじだ。
パパのベンツに乗る時は
若い衆が必ずドアを開けてくれる。
どこのお店に行っても
格別の扱いでもてなされる。
私は歌舞伎町の女王だ。
パパの力は私の力だ!
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