らぶどろっぷ【元AV嬢の私小説】 -22ページ目

第327話 同伴要員

携帯からの目次を作りました


ラトゥールに入店して2ヶ月が過ぎた。


キャバクラは女の子の入れ替わりが激しく

毎日のように体験入店の子が入っては

入れ違いで誰かが上がっていく。


2ヶ月もたつと、新人扱いはされなくなり

レギュラーの私は店の中核として機能するようになっていた。


現在ラトゥールには6人のレギュラーがいる。


栄子、真由美、翔、涼、純、そして私。


栄子と真由美は入店が同時期なことに加え

年も同じで親友のような関係だ。


秋田出身の翔と涼は従姉妹同士で

プライベートでもいつも一緒にいる。


私と純の仲も

日を増すごとに深まっていった。


自分の指名客がフリーの枝を連れてくると

「○○ちゃんと仲良しなんだ。 良かったら呼んであげて?」

ホステス達は、そんな風にプッシュしあって場内指名を取り合う。


キャバクラには二人組みで来る客が多いし

一人が指名を入れていれば、もう一方も大抵は指名を入れたがるのが常だ。


仲の良い友達とセットで指名が入ると、同伴に持ち込みやすく

裏での根回しも容易いので、その後の営業はうんとやりやすくなる。


ポイントを伸ばすためには

出勤時に2ポイントが加算される同伴は欠かすことは出来ない。


私は、すでに二人の同伴要員をキープしていた。


一人は36歳、土建屋のブローカー。

容姿も話し方も何もかもが『田舎っぺ大将』と形容するに相応しい勝君。

愛称はルッチ。 明るくて単純な性格で非常に扱いやすい。

奥さんとの仲は円満で子供が3人いる。


彼は「まりもちゃんを応援したい」というスタンスで

全く口説きに入らない、ありがた過ぎる神客だ。


いつも電話一本で飛んできてくれる。


もう一人は、東レのサラリーマンで年齢は32歳。

会社の独身寮に住んでいる技術系の明宏。


そこそこ顔は良いのに恋愛偏差値が低い男。

私の最も得意とするタイプだった。


明宏は会社の同僚と二人で、初めてラトゥールにやってきた。


何人かの女の子がついた後に

「あそこ新規なんだけどイマイチ盛り上がってないから頼むよ!」と高梨に尻を叩かれ

私が席につけられた。


明宏の顔を見るなり

私は口元を両手で押さえ目を見開き、挙動不審な演技をした。 


「どうしたの?」 彼が不思議そうに尋ねたのに対して

私は少しの間を置き 「昔の彼氏にそっくりで… ちょっと驚いちゃって」 

と計算づくの嘘をついた。


言葉よりも先に態度で嘘をつくことによって

後の言葉は真実味を帯びる。


「そうなの? マジでそんなに似てるんだ?」 


「てか、こんなこと言ってごめんなさぃ。 前の彼氏に似てるとか、失礼ですよねぇ」


言ってはいけない事を言ってしまい、反省しているような素振りをすると

さらに話の真実味が増す。


「いや、全然いいよ。 どんな彼氏だったの? なんで別れたの?」 

明宏はおもしろいように食いついてくる。


私は適当な作り話を繰り広げる。 

大好きだった。 フラれてしまって忘れられない。 その彼との想い出。

身の上相談の中にさりげなく餌を撒きながら。


「てか、すごいタイプの顔なんです。 やばぃ~ 超かっこぃぃですよね…」


ここでも言葉だけが浮かないように全身で演技をして

作り話を立体的に構造化させる。


そこからは

「仙台に来たばかりで寂しい」 「友達がいない」 「彼氏が欲しい」 

のいつものコンボ攻撃。


明宏が私に興味を持っているという手応えがビンビン伝わってくる。


絶妙のタイミングで高梨が私をテーブルから抜き

「そろそろお時間ですがいかがいたしますか?」 とコールを入れる。


裏で待機する私の元に

高梨はニヤけながらやってきて言った。


「さすがですね、まりもさん! 延長と指名が入りましたよ♪」


「いえいえ、高梨さんの付回しのおかげですょ♪」


高梨と勝利のハイタッチをしてから

私は驚きの表情を浮かべて明宏の席へ戻った。


「戻してくれたの~~! 超嬉しい!!!」


目薬を仕込まなくても

こういう時、私の目はキラキラと潤む仕様になっている。


「今度、食事でも行きませんか? 暇な日ってある?」 


延長30分、私は勝負のスパートをかける。


「俺はいつでも暇だよ! 明日はどう?」


「あぅ… 明日は同伴日で、お客さんと食事に行かなきゃいけないの」


もちろんラトゥールには同伴日なんてものは存在しない。


「明日の同伴はもう決まっているの?」


「ううん。 私、まだ指名のお客さんなんて数えるくらいしかいないし…

でも明日全員に電話かけて頼んでみるから大丈夫」


「なら、俺が同伴してあげようか?」


「えっ! でもぉ、明宏君とはプライベートで食事したぃ。

てか、お客さんではなくて…」 


私はそこまで言って恥ずかしそうに俯く。


「予定入ってないなら明日飯食おうよ! その後一緒に店に来ればいいんでしょ?」


「そぉなんだけどー。 でも、お客さん扱いしてるって思われなくないんだ。

なんていうか… ちょっと特別な感情を持ってるみたぃで…」 


「客扱いされてるだなんて、そんな風に思わないから平気だよ!」


明宏には、こちらが言わせたいと思うことを簡単に言わせることが出来た。


彼は極端に願望よりの現実認知をするタイプで

私の黄金パターンともいえる色営業で骨抜きにするのはわけなかった。


今では、時々手を繋いで国分町を歩くだけで

すっかり自分が彼氏だと信じ込んでいる。


おめでたいやつ。


『俺は彼氏だから』というフィルターのかかった明宏には

かなり無理な営業もかけることが出来た。


「どうしても逢いたいの」


私のその言葉を純粋な恋心だと捉えて

彼は今日も店にやってくる。


同伴要員のルッチと明宏。

この二人のおかげで私の成績はまずまず安泰だった。


さくらんぼ続きを読みたい人はクリックしてねさくらんぼ
      
rankm
いちご携帯らぶどろっぱーはこちらいちご
    
人気ブログランキング