第333話 恋愛と仕事の両立
追い風に吹かれて
恋も仕事も今までになく順調だった。
仕事に関して言えば
私はラトゥールに入店して本当に良かったと思っている。
いろいろと小うるさい部分はあるけれど
水商売とは思えないような骨組みのしっかりとした会社で
私に欠けていた社会性というものが少しづつ養われていく実感があった。
ホステスなんて
いってみれば店という場を借りた個人営業みたいなところがある。
『ケースバイケースでルールなし』
ほとんどの水商売は経営者側からしてそんなかんじだけれど
うちの会社にそういう曖昧さは一切ない。
何から何までシステム化されていて一貫性があり
整然とした統一体として成り立っていて
感覚的には、一般企業で働いているのに近い気がする。
とにかく今まで勤めてきた店とは根本が違い
私は段々それを悪くないと思い始めていた。
『会社の駒になるなんて負け犬のすること』
そんな考えを持っていたけれどそれは思い違いだった。
会社の駒になるということは、役割を与えられるということだ。
つまりそれは、自分自身に存在価値が付与することを意味する。
度重なるミーティングを受けラトゥールで長く働くうちに
私も少しずつ会社の方針に順応していった。
言い方を変えれば
他の女の子達と同様に
店側のいいように洗脳されていった。
真由美のような立派なホステスには成りきれなかったけれど
自分なりに悪い点は修正して良い部分は伸ばすように心がけた。
ホステスとしてのプロ意識が芽生え
プライドを持って仕事に打ち込むようになっていた。
それでも店側は
奔放で生意気な私に手を焼いている様子で
私をどう扱うかについて上層部で話し合いがもたれていた。
No1の地位が次第に確定していっても
店側は栄子や真由美や純を押す立場をとったし
私とはある種の距離を保っていた。
けれど
難しい客や大事な客が来た時には
高梨はまず私を席につけることが常だった。
そこには暗黙の信頼関係が成立していた。
私はその期待に応えようとしたし
自分のポジションをよく理解していた。
「まりもはうちの店では切り札でジョーカーみたいなもの。オールマイティなんだよ。
どこにいても、その場を華やかにする人間がいる。それはたぶん天性のものだ。
それに、おまえは相手に応じて柔軟に自分を変えることが出来る。これもきっと天性だろう」
ある日のミーティングで高梨が言った。
「めずらしいこともあるんですね~。高梨さんが私を褒めるなんて」
私は皮肉を込めた笑いを見せた。
「ジョーカーなんてババ抜きではただのババだけどな。ま、使いようってことだ」
高梨は憎たらしい笑いで返した。
私が店の方針に順応するにつれ
店側も私の個性をある程度は受け入れてくれるという
バランスと折り合いがそこにはあった。
私は仕事が好きだった。
指名本数を維持するには努力が必要だったけれど
No1でいることは何よりも私の心を充足させた。
どれだけ好きな人と熱烈な恋愛をしていても
ずっと心に蔓延っていた飢餓感のようなものが
いつのまにか私の中から消えたいた。
『満足のいく恋愛』 と 『納得のいく仕事』
この両立こそが
心を満たすために必要だったのだと
私はここにきて初めて解った気がする。
恋愛だけで
心の隙間を埋め、全ての渇きを癒そうとしれば
自然と相手への期待や要求が大きくなってしまう。
今までも
愛情が強いが故に相手への負担が増え
悪循環に陥ることが多々あった。
今は違う。
彼は私がラトゥールでNo1だということを
誰よりも喜び、認めてくれている。
同じ水商売だからこそ
わかりあえる苦労もあった。
一つしかないNo1の椅子に座れることが
自分の価値の裏づけになり確たる自信に繋がっていく。
自分に自信が持てるから
彼から愛されている自分自身のことも
すんなり受け入れることが出来る。
だから私も
俊ちゃんのことを思い切り愛せる。
まさに好循環だった。
夏になると、去年と同じメンバーで
思い出深い猪苗代湖にまたバーベーキューに行った。
アルバムは三冊目を数え
そこには、いつも寄り添って微笑む二人の笑顔があった。
北海道や岩手のゲレンデの雪景色。
東北最大の大曲の花火大会。
杏奈達とダブルデートで行った山形のさくらんぼ狩り。
想い出は雪のように降り積もっていく。
覚醒剤で苦しみ
何もかもが破綻したあの夏は
ずっと遠い日のことみたいに記憶の片隅に追いやられていた。
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本日更新♪ 今月は元ソープ嬢の友達の話。
女の子にはいまいちよくわからない。
ソープランドってどんなところ? どんなことするのー!?
ちょっぴり過激で興味深い、そんな話を書いてます♪
