小学4年生のフィンランド留学体験記 第九章 9月 19.ウクライナの日 | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことを書き留めていきたいと思います!

 

登場人物

エンミ先生:担任

ブレタ:6年生のクラスメイト。アルバニア人。

アナ:3年生のクラスメイト。ドミニカ共和国人。

ジェミフル:3年生のクラスメイト。トルコ人。

クリスティーナ:同い年のクラスメイト。ウクライナ人。

アンドレイ:2年生のクラスメイト。クリスティーナの弟。

アリシア:2年生のクラスメイト。ウクライナ人。

セルゲイ:転入して来たばかりの3年生のクラスメイト。ウクライナ人。

 

19.ウクライナの日

 

 僕のクラスにはウクライナ人が4人もいる。クラスメイトのだいたい3分の1を占めている。クラスで一番明るくて元気なクリスティーナがいるから今日は熱い発表になるに違いない。先生が動画を使ってウクライナのことを説明し出すと、ウクライナチームは「これは〇〇だ。」とかたくさん補足した。転入して来たばかりのウクライナ人セルゲイだけが黙っている。アリシアは民族衣装と王冠を持って来て見せてくれた。民族衣装は黄色と水色のウクライナカラーだった。クリスティーナはお母さん手作りのヴァレニキを持って来て配ってくれた。餃子に似ていると思った。中にはじゃがいもが入っていてとても美味しかった。アリシアはなぜか僕だけに「りくと、美味しい?」と聞いてきた。「美味しいよ!」と答えるとホッとしているように見えた。エンミ先生も僕に「日本の餃子と似ているね。」と言った。アンドレイはキャンディーとキャラメルのようなウクライナのお菓子をくれた。これらも美味しかった。

 クリスティーナは柔道の胴着も持ってきた。あれ?柔道は日本じゃないのかな。と僕が思っているとエンミ先生も「これは…日本のものだね。」と言って僕を見た。ウクライナでは柔道は日本のスポーツだって知らされていないのだろうか。ウクライナは柔道が強い国だし、人気があるってことなのかな。それから、エンミ先生がウクライナの民族音楽をかけると、クリスティーナが踊り出した。この踊りはウクライナ人全員ができるものではなかった。アリシアとアンドレイは踊れていない。見るからに難しそうな踊りだ。「さあ、踊ってみたい人はいる?」と先生。クリスティーナもアンドレイもアリシアも僕の席の周りに集まって「りくと!踊って!」と言ってきたけど、僕は踊りが苦手だし、「いや~むずかしそうだから、できないよ~」とやんわり断った。ジェミフルとアナだけがその難しい踊りにチャレンジしたけど、踊れていなかった。

 ウクライナの発表は大盛り上がりで、1時間20分も経過していた。ブレタは途中で音楽を受けに教室を出た。ウクライナの発表を聞き続けるか、音楽の授業に行くか先生が選ばせたんだけど、「音楽!」とブレタは言った。ウクライナ語とロシア語が飛び交うこの授業。ブレタは我慢できなかったに違いない。最後はホワイトボードにウクライナ語とロシア語でクラスメイトの名前をウクライナチームが書き、ロシア語でゲームをした。ロシア語ってアルファベットに少し似ているけれど、形が面白い。アルファベットもあるけれど、A以外読み方が英語にもフィンランド語にも似ていない。ロシア語のゲームでは、まず、ロシア語で挨拶や数字が言えるように練習した。クリスティーナがみんなに数字を教えた後、「はい、じゃあ、りくと!言ってみて。」とまた僕が名指しされた。クラスメイトの中でなぜか僕だけみんなの前で挨拶と数字の練習をさせられるはめになった。クリスティーナは僕によくロシア語を教えてくれるけど、僕とロシア語で話したいんだろうか。ウクライナが戦争をしている話は、冒頭に先生が少し話しただけだった。クリスティーナ、アンドレイ、アリシア、セルゲイが最後まで笑顔で発表できて良かった。僕はウクライナカラーで折った折り紙のシュリケンをクリスティーナに見せた。「ウクライナカラーだよ。」と言うとクリスティーナは嬉しそうに笑った。