小学1年生のフィンランド留学体験記 第七章 5月 11. 正義感の強い頼れるお兄ちゃん | フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

フィンランドに1年住んでみる(在外研究)

~子連れフィンランド滞在記~
1年間家族でフィンランドに住みました(2022年10月〜2023年10月)。
準備からフィンランド生活について思ったこと、
感じたことを書き留めていきたいと思います!

 

アッシ:2年生のいじめっこ

アラン:お兄ちゃんの親友

ジェミフル:お兄ちゃんのクラスメイト

 

11. 正義感の強い頼れるお兄ちゃん

 

 2年生のアッシはいじめっこだ。初めて会った時から、僕の事を中国人と呼んでいた。授業中だけじゃなくて校庭でも遠くから大きな声で僕の事を中国人と呼んだ。先生に訴えてからはもう中国人とは言われなくなったけれど、まだ許したわけではない。アッシは僕に謝っていないからだ。公園でお兄ちゃんとアラン君とサッカーをしているとアッシが仲間2人を引き連れて「サッカーに入れて!」とやって来た。お兄ちゃんはアラン君とアッシの仲間に聞こえるように「この子は弟をいじめるやつだから入れたくない!」とはっきり言った。アッシはばつの悪そうな顔をした。それでも、アラン君は大人数でサッカーがしたかったからお兄ちゃんを説得し、アッシが僕に嫌なことを言わないことを条件にアッシをサッカーに加わえることにした。

 別の日、僕がお兄ちゃんと校庭の遊具で遊んでいると、アッシがジェミフル君とこちらを見て何か話しているのが見えた。すごい顔でアッシをにらみつけるお兄ちゃん。アッシはジェミフル君の後ろに隠れた。僕とお兄ちゃんはアッシに近づいていき、わざと怖い顔で名前を聞いた。「アッシ。」その子はそう言った後怖気づいて逃げて行った。その時初めて僕たちは2年生のいじめっ子の名前を聞いた。「これであのいじめっこの名前が分かったな。何かされたらすぐ名前を出して周囲に訴えることができるようになったね。」とお兄ちゃんは言った。

 それからアッシはすれ違いそうになると遠回りをして僕たち兄弟を避けるようになった。アッシには1年生に弟がいる。その弟が僕の所に来て「僕のお兄ちゃんはすごく優しいんだ!僕はあんなお兄ちゃんがいて幸せだ!」と話し出した。僕は「ふーん。」と興味がなさそうに言って立ち去った。アッシに言われてきたのだろうか。その弟はアッシと一緒に声を合わせて「中国人!」と叫んできた子だったので、何を言おうと信頼できなかった。優しい人が僕を馬鹿にしますか?僕にこそ優しい兄がいる。正義感の強い頼れるお兄ちゃんだ。