5編のミステリ集

平凡な家庭に潜む秘密を鮮やかに浮かび上がらせる

 

 

ものすごく特別ではないけど、ごく普通でもない家庭の小さなできごとがきっかけに、思わぬ波紋が広がっていくサスペンスな短編集です。

 

1,夫と離婚した元妻が、よりを戻したのではないかと疑う現妻。夫の通勤バッグに隠されていたものを見つけ「夫に殺されるかもしれない」‥

 

2,子どもの通う保育園のママ友と夫が不倫してるのではないか。憶測を巡らせていら立つ妻だったが‥

 

3,中学から10年ひきこもりの息子は、部屋に入った者は殺すと宣言。忍び込んだ泥棒、ドアにもたれて母親が刺されていた‥

 

4,母が入院手術することになり10年ぶりに帰った実家は、母と姉が暮らしている。借金癖のある姉から、父が亡くなったのは誰のせい?となじられる‥

 

5,DV夫と離婚し娘と息子がいるが、息子は大学生で気が弱く過保護気味で、7歳年上シンママと交際していたのを別れさせた。シンママが殴られ意識不明の重体で見つかり、そばにいた息子に容疑がかかる。犯人は息子ではない!

 

 

「3」以外は、ありふれた日常を送る人たちに振りかかった、思いがけない方向からの災難を、丁寧に細やかに表現しています。

 

「5」は短いけど本格ミステリ。傷害事件の参考人として警察で事情を聞かれる息子。家族として呼び出された母は、息子を必死にかばう。自宅近くでシンママの弁護士に声を掛けられ、弁護士の話に疑いを抱く母はゴルフクラブで殴りつけるが‥

 

話の流れがスムーズで、わかりやすいです。アリバイやトリックのための無茶な設定もなく、小さな疑惑が大きく膨らんでいくようすが、丁寧に描かれています。