1933年生まれ、長崎県出身

戦後美容の一時代を築いた。

 

 

長崎原爆投下から這い上がり成功者となるエンタメ一代記。

 

菊男12歳は、長崎原爆で母と兄と祖母を失い、出征した父は戦死していた。残された妹と2人で親戚を頼り東京へ向かうが親戚は行方不明で会えず、上野駅の地下道で浮浪児に混じって彷徨う。寂しさと飢えと悲しみで涙が止まらない‥

 

野垂れ死にしそうな菊男兄妹は、女形と小柄な男に救われ部屋で暮らすようになる。

悪事か人様に言えないようなことでもしなきゃ生き残れないものね。

生き抜くためになんだってやる、妹を守ってやると菊男は決意する。が、妹が行方不明になってしまう、必死に捜すが見つからない、手がかりもない。浮浪児狩りにあったかもと孤児院を渡り歩き妹を必死に捜す菊男。

 

養育院に収容された菊男は、銀座で美容室を経営する千代子の養子となる。「美粧に興味があるでしょ。将来なにをして生きていく?」と千代子に聞かれ「金を稼ぎたい」と菊男は答える。

 

美しい千代子は結婚せず親の遺産で美容室と化粧品事業を始め、美粧に興味のある菊男を養子にスカウトしたのだ。戦後復興で化粧品事業は大ヒット。化粧品業界5位に躍進し、菊男はメイクアップアーティスト兼経営陣として激務をこなし、千代子亡きあと代表取締役に就任し頂点に達しますが‥

 

妹が無事見つかることだけを願い続ける菊男。妹は意外なところで‥

 

 

『華麗なる一族』を思わせるようなといいますか、銀行でなく美容業界なんですけど、菊男12歳から62歳までのサクセスストーリーです。登場人物も多いのですが人物描写がしっかりしているためか迷うことなく読めました。人物像がはっきりしていてわかりやすい、大切です。

 

原爆投下後の惨たらしさ、生と死がリアルに描かれ、冒頭からガツンと衝撃受けます。生きるためになんでもする、それは行方不明になった妹を見つけるためというわかりやすい話です。文章の流れや言葉の選びかたも好みでした。

 

私事ですが、映画やドラマが苦手なのは人の顔を覚えられないせいかもしれなくて、特に若い人の顔が皆同じに見えてしまう。ジジババの顔は区別できるんですけどね。そんなこともあり映像より文字で楽しみたい派でございます。