予想外の展開に背筋が凍る
異色のマイホームミステリー
猪瀬藍・37歳・女性・独身。
「借金をして家を買おう」
そう思いついたのは六年前のことだった。
果たして、その物件に手をだしては
いけなかったのか‥
独身女性が中古マンションを買って後悔する話
と言ってしまえばそうかもしれないけど、少し違うかも
じわじわ忍び寄る不穏さに震えます
築12年2LDK、3階建ての3階角部屋、南西向き
理想ぴったりの売り出しマンションを見つけ
藍は大急ぎで申し込む。
売主は40歳前後の小林家の夫。妻の杏奈は藍より1つ年上、小学生と保育園の姉妹がいて、新築戸建てに引越すためマンションを売却するという。
藍は速攻、購入契約して引越する。
引渡が終わり売主と買主の関係も終了、のはずが
小林家の姉妹が、藍のマンションを訪ねてきたり
藍が、小林家のホームパーティに誘われ寝泊りするようになり
杏奈のフレンドリーな優しさ、大切にされている安心感に満たされ
小林家のペースに巻き込まれていく
わたしに向けられた数々の優しさは、わたしではなくわたしの家に向けられたものだった。
藍は、じわじわと小林家の4人に取り込まれていく
気が弱くて嫌と言えない性格でもなさそう
新興宗教の勧誘手口でもないのに
知らないうちに抜け出せなくなっていく怖さ
夜になると物音がして眠れなくなる藍
玄関に撒かれた里芋の無数の皮‥なんなの?
情愛のこもった目で部屋を見渡し、杏奈が言う
この家が大好きなんです。いまもほかの誰かの家とはとても思えない。
杏奈から信用され歓迎されている気でいたけど
自分一人の思い込みだったと気づく藍。
罠にはまったのだ!
おそろしや‥
煽るような言葉はなく、淡々と落ち着いた文章で
静かな恐怖が表現されています。
追い込まれていく、得体のしれない恐怖感とでもいいましょうか
