これは歴史か、ファンタジーか?

 

 

名主の弟・杜宇(トウ)は武家とのトラブルから逃亡し山を越え川を渡り都をめざしたが、正体不明の若い男女に捕えられ、籤を引いて生死の運命が決まる。

籤は神心とも書く

連れて行かれたのは「青姫の館」だった。

 

姫と呼ばれる童女

朔(サク)という護衛の若者

烏帽子の老人は姫の薬師という

 

妖しのものたちなのか?


姫から「米を作れ」と命令された杜宇は、荒れた土地を耕し稲を植え育てることになる。山々に囲まれたこの『青姫の郷』は、にぎやかな市が開かれ人々が行き交う選ばれし民だけの理想郷のようだ。

 

年齢不詳の姫の名は満(ミツル)姫

15の声を持ち、はたちの実眼を誇り、知略は30、肝は40、神意を汲む力は70の神女ごとし。

田植えの神事を仕切る姫と舞う朔。月の満ち欠けは朔日に始まり十五夜に満ちる。姫と朔は陽と陰なのだ‥

 

『青姫の郷』で暮らす杜宇の所へ、トラブル相手の武士が瀕死の状態で運び込まれる。同じく籤引きで決まったようだが、杜宇は敵討ちされるのではないかと怯える。

 

 

ファンタジーということで、時代・場所・人物の設定をつかんでおかないと、さっぱりわかりません状態になりかねないと焦りましたが、意外と溶け込めました。たぶん江戸時代前期頃で京都から近江の間の地域の設定でしょうか。

 

姫と朔の謎な関係が少しづつ明らかになっていきます。童女のようにも見え、年増女のようにも見える不思議な姫の辛く悲しい過去。武闘派で異人風の朔との深い絆。姫の会話が御所言葉というのがヒントかもしれない。

 

おっちょこちょいだけど生真面目な杜宇は、姫と『青姫の郷』を守るため黒雲衆と戦い生き残ります。得たもの失ったもの、いろいろです。

 

「杜宇の不思議な大冒険」的な物語。謎めいた妖しいできごとが散りばめられていて面白く読み進みました。