昭和史を揺るがす事件の謎をめぐる圧巻の歴史ミステリ

青年将校たちの決起の裏で起きていた「もう一つの事件」とは⁉

 

 

昭和10年8月、相沢三郎歩兵中佐は、陸軍省に足を踏み入れた。

 

背後から声が掛かった。振り返ると、廊下の端から色の白い給仕の青年が笑顔を見せていた。

 

相沢による永田軍務局長惨殺事件へと急展開。昭和10年頃の軍部や警察の仕組み世相・価値観などに戸惑ったらスルーです。続いて、悪評高い古鍜治兼行大佐が刺殺され、米徳平四郎少佐が銃殺される連続殺人事件発生。

 

憲兵大尉の浪越破六(ナミコシバロク)が特命を受け、これらの事件の調査を秘密裏に進めていきます。また自殺とされていた事件が他殺と判明、なぜ?

 

物語の中で一か所だけですが「大本教の出口王仁三郎(デグチオニサブロウ)が島根で捕まった」とあり、おおっ!この頃だったのか。

 

浪越が一連の事件のつながりを追っていくと、新宗教の布教師をしていて、今は政治塾を立ち上げた政治ゴロの男が浮かび上がってくる。ぐいぐい追い詰めていくと、軍部上層部の者の家族間での怨恨問題も絡んできて、まーそんな感じで、盛り盛りで話が進んでいきます。

 

やがて、昭和11年2月26日の大惨劇へと向かっていき、クールな浪越が不死身かと思うくらいのタフさで大乱闘で大活躍。

 

2.26を新解釈した話かと思って読み始めたら、同時期に起きた軍部内の殺人事件の物語でした。始めころに登場する「給仕の青年」が重要人物なのであります。青年の正体が明らかになり話がひっくり返りびっくり間違いなし。

 

史実と創作が入り交じり、緊迫した状況が伝わり読み応えがありました。