天狗に願掛けってどういうこと?!

日本ファンタジーノベル大賞2025大賞受賞作

 

公務員試験を受け大卒後就職して2年目の大月あかりは豊穂市役所の「すぐやる課」が職場。通勤に便利ということで空き家になっていた母の実家に一人で住んでいる。

 

ある日、あかりは近所のおばあさんから『ナカヤシキは天狗の家』と吐き捨てるように言われたが意味がわからず困惑。

 

『ナカヤシキ』とは江戸時代のころの羽振りの良い5軒のうちの1軒の屋号で『天狗の家』とも呼ばれ、村人は困りごとがあると『ナカヤシキ』へ願掛けに行くと天狗が願いを叶えてくれたという。現在は、あかりが『ナカヤシキ』の住人であり後継者なのだが‥

 

近所の子どもが山で迷子になってしまい、あかりも捜索を手伝うが、なかなか見つからず途方に暮れていると、突然、迷子の子どもが発見され空を飛んで来たという。

天狗に助けられたのか?

 

着物買取詐欺に騙された老女が人間に化けた狸に助けられたり、村人たちから化け物と誹謗中傷された嫁の本当の姿とは、など不思議ワールド全開で話が進みます。

 天狗の飯野

 アナグマの夜三郎

 狸の平蔵

 白猪のツバキ

 スーパーのレジ神etc.

濃いキャラ達が登場して大活躍。特に、あかりの指導役的なアナグマの夜三郎がおちゃめで長老の威厳もあり抜群の存在感。

 

“この地域では80歳はまだまだバリバリの現役世代である”という豊穂市の現状。

未来が見えない、30年後にも豊穂市が存続しているのか、ここで暮らしていけるのか、と将来にうっすら不安をおぼえる行政職員のあかり。

 

先々のことを心配するのも大切だけど、今を快適に楽しく過ごすことが大切な気がする。今、ここに住んでる人がいかに安心して安全に暮らせるか。今日、明日を困っている人はどうしたら助かるかを解決していけば何十年先まで続くことに繋がる。

 

 

物語の舞台は、言葉遣いから察すると三河地方の山間部かなー

豊穂市というのは豊橋市と豊川市と豊田市をミックスしたような架空のまち

宝蔵山は鳳来寺山のことかもと推察しましたが、いかがでしょうか。

あかりの出身市が天伯(テンパク)市となっていて

テンパクといえばローカルな民間信仰の意味もあるし。

 

本表紙イラストが若者向きをアピールしているようで、怯む気持ちでこっそり読んだけど面白かったです。過疎化・高齢化に対応する役所の仕事ぶりなどもさらりと書かれていて読み応えがあり、中高年でも十分に楽しめる内容と思います。