竹千代は今に天下を掌中に入れおるぞ
三河武士たちの物語
松平清康から始まり、孫の徳川家康までの連作短編集です。
1,宝の子
25歳の松平清康を殺めた15歳の弥七郎、その父の自害を止めた鳥居忠吉。
2,戻橋
松平清康の嫡男・広忠と正室・於大との息子・竹千代(=家康)は、6歳で人質に出される。
3,いつかの朔日
忠吉は三河岡崎城に戻る途中、禍々しく胡散臭い老婆から「竹千代が天下を取る」「今の岡崎城主は24で死ぬ」と聞き予言は当たるが‥
4,府中の鷹
今川氏の人質となった竹千代に忠吉が鷹を届ける。
5,禍の太刀
弥七郎を斬った刀は新六の初陣に父が持たせてくれた太刀だった。
6,馬盗人
忠吉の四男・四郎は元康(=家康)と共に大高城の兵糧入れに出陣する。
7,七分勝ち
元康改め家康は浜松城を築城、武田信玄との戦いに苦戦する。
8,伊賀越え
堺で織田信長の暗殺を知った家康は、危険な伊賀越えを決行して岡崎城に向かう。
9,出奔
織田信雄と共に秀吉と戦った家康は信雄の稚拙さに呆れ笑う。
10,雲のあわい
伏見城落城と関ヶ原の戦い。
三河岡崎の松平家の忠臣・鳥居忠吉を中心として物語が進みます。忠吉は家康の祖父、父と三代に仕え、忠吉の三男は竹千代の小姓として仕え伏見城落城で亡くなります。伏見城落城が8月1日なので「朔日」がテーマなのかも。
複雑な人間関係のストーリー。価値観も現在とは違うし、主君を臣下が教祖のように崇めているように感じられました。
主君のためなら自分の命も惜しくないし、進んで犠牲になるという武士道精神(?)でもねぇ、自分の命が惜しくないということは、他者、特に身分が下の者の命なんて虫けら同然にしか思わないのかもしれない。
「3,いつかの朔日」に登場する道占いの老婆の予言が気に入らなくて、忠吉は老婆を斬り殺します。忠臣の表の顔と裏の顔の違いが毒々しい。歴史物ですが堅苦しい武士言葉もなく読みやすい文章で迫力あります。

