江戸時代中期の備後国(広島県)
稲生平太郎の不思議物語。
巻頭にカラー絵巻が掲載され、妖怪たちの姿がホラーのようなコメディのようなリアルさで目を奪われます。稲生平太郎が書き残した「三次実録物語」を京極夏彦さんが現代語訳されています。
稲生平太郎16歳は、元相撲取りの怪力男・権八と比熊山で肝試しします。化け物がいるという山に登り二人は怖い話を語り合い、夜が明けると山を下りた。
雨の日の夜、眠れずにいると屋敷が鳴動し始め、一つ目の巨大な黒い怪物が現れ、怖がる権八。怪物を平太郎が退治した。
次の夜、まやかしの火が燃え始めた。馬鹿馬鹿しいと寝てしまう平太郎。
その次の夜、不気味な女の首が出てきて髪が伸びる。不快に思い寝る平太郎。
という具合に、毎夜、違う化け物・妖怪が現れ怪異現象が起こる平太郎の家です。が、慌てず騒がず相手にせず寝てしまう平太郎。肝が据わっているのか、鈍感なのか一番の謎は、妖怪より平太郎の心理かもしれません。
そして30日目、何も起きなかった、と思っていると帯刀の大男が現れ大魔王と名乗り、消えた。
夢か。全て夢ではないのか。
個性的な妖怪が次々現れ暴れるようすが詳細に説明されています。
妖怪に立ち向かう沈着冷静で勇敢な平太郎の武勇伝といいますか、自慢話のようでもあります。稲生平太郎は実在の人物だったのでしょうか。まさか、でもねえ‥
巻頭のカラー絵巻に描かれた妖怪たちを、見ているだけで楽しいかもしれません。

