絵師の一念、憂き世を晴らす。

時代小説の短編集

 

 

鎌倉時代から明治時代を舞台にした6話です。

 

『さくり姫』

源頼朝が亡父・義朝の菩提を弔う寺を建て堂内に絵を描け、と命じられた京の画師・詫磨為久。頼朝の妹・有子からも絵の依頼を受けるが、さくりを繰り返す有子は腹立ちや悲しみを抱えているようだ‥

 

『紅牡丹』

室町時代。人質として城入りした苗は、母から持たされた緋牡丹の株を城内に植えたが、葉は大きく茂っても蕾が着かず花も咲かないまま数年、なぜ咲かない?

 

『輝ける絵巻』

後水尾上皇の頃、禁裏で家名を上げるために歌に励む四辻季賢は、正体不明の胡散臭い老人から豪華な源氏の絵巻を見せられ帝に献上したいと相談される‥

 

『しらゆきの果て』

江戸時代、浮世絵師の一番弟子として喜平治は、日光東照宮の壁画の修復を請け負った狩野家を手伝うが、道具代や賃金が支払われず横暴さに大激怒!

 

『鳥羽玉の眸』

明治時代。住職の亮珍は鹿汁を僧にふるまい、詔に従い仏道を離れ還俗して寺を出るように話し、逆らう僧には強引に肉を口に入れ肉食の禁を破らせる‥

 

 

どの話にも画師・絵師が登場するのが共通となっていて「絵」でつながっています。

 

細やかな描写とクライマックスからの意外な結末、メリハリのある話の流れに引き込まれました。ぎゅっと濃縮された内容と安定感のある文章で読みやすいです。それぞれ違うテイストが楽しめるのも短編集の良さでしょうか。