薄曇る水動かずよ芹の中by芥川龍之介
出て行け!この悪党めが!
デビューして20年の小説家「わたし」はスランプに陥り、唐津の焼き物を題材にした小説を書こうと以前に思ったことがあり、再び唐津に向かいます。
陶芸体験のできる窯で作業に夢中になっていると、帰りのバスを逃してしまいタクシーもなく困っていると、窯元のサワタローさんに「泊まっていけばいい」と言われ、奥さんのナミエさんも一緒に酒や食事をごちそうになり言い伝えの話を聞く。
「水神と朝鮮から来た陶工の娘の話」をサワタローさんは父の祖父のその祖父から聞いたという。水神(スイジン)とは水の神様=河童のことらしく、河童はインドからモンゴルを経て黄河を通り、玄界灘を渡り九州に流れ着いたのだそう。
「水神の里・唐津」で豊臣秀吉の時代に河童たちが襲われた悲劇とは?
サワタローさんと妻のナミエさんは水神一族の末裔なのか。再び陶房へ行き『水神夜話』という口伝を聞くわたしは、猿(秀吉)と河童たちの壮絶な戦いをを知ることになります‥
オカルトといいますか、ファンタジーといいましょうか。猿・秀吉の朝鮮出兵を阻止しようと奮闘する河童の物語です。朝鮮や明の馴染みのない地名や個人名が出てきてわかりにくい箇所は、さらっと読み飛ばしました。流浪の民・河童たちの哀しみと、猿の秀吉・狸の家康との攻防が重くなりすぎずユーモラスに描かれています。
主人公の「わたし」が山道を歩いていると渓流に見えた植物が、『芹』でした。きれいな水でないと育たない芹。『芹を摘む』とは徒労を意味するらしいです。
こういう河童物語もありかなと新鮮な気持ちで楽しめました。
