焔(ホムラ)と雪 

驚愕の火種は最後に燃え上がる

ときに熱く、ときに冷たく、きみと謎解く、いとしさよ

 

 

大正時代の京都を舞台にしたノスタルジックなミステリ短編集です。

 

鯉城武史(リジョウタケシ)は京都府警察部を辞め鯉城探偵事務所を開き、共同経営者の露木可留良(ツユキカルラ)は貴族院伯爵議員の妾の子で、2人は30年来の幼なじみ。豆腐屋の息子と伯爵家の息子が友達になった。

 

・材木成金の商人が買った山荘に化け物が出る、と鯉城は調査を依頼され、物知りな露木に知恵を借りると化け物は『うわん』だという。山荘から材木商人と使用人の惨殺死体が見つかる‥

 

・ストーカー男を撃退するために、鯉城は恋人役を依頼される。

純愛だと思い込んでいる男の気持ちをかえることほど難しいものはない

厄介なストーカー男が焼身自殺した‥

 

・子どものころ、鯉城は高利貸しの強欲婆さんの幽霊を見たという。幽霊の謎を解く露木。謎を解くことで鯉城に褒められたい、真実かどうかはどうでもいい、自分のもとに鯉城を引き留めておきたい。病弱でひこもりな露木にとって、大柄でケンカ強い鯉城は英雄であり、憧れのいとしい人なのだ。

 

・老舗製薬会社の社長夫妻からの依頼。鯉城は、社長の妻が昔同棲していたヒモ男に強請られていることを知り、同情し惹かれる。ヒモ男が事故死、夫は突然死、妻は自殺未遂、鯉城は社長の妻に有利になるような方便で推理を作りあげる。

自分にとって都合のいい物語を創っただけだ

露木に、鯉城はそう打ち明ける。

 

謎解きも推理も自分に都合よくでっち上げたってこと?

いままでの謎解きが正解ではなかったとしたら、びっくり。

鯉城の最後のつぶやきの意味を、どう解釈したらいいのか困りました。

快刀乱麻とはいかない屈折感というか、わかりにくさに混乱しまくり。

 

大正ロマンな雰囲気が漂い、鯉城と露木の退廃的な感情など、独特な風味を楽しめるミステリかもしれません。