なんてん長屋シリーズ②時代小説

子持ちの幼なじみ

 

 

せい25歳は、湯島天神の門前町にある一善飯屋『とくとく亭』でお運びをしています。以前は菓子屋『俵屋』で10年女中奉公していましたが、若旦那の不祥事から店を閉めたので『なんてん長屋』に引越し新しい仕事を始めました。

 

『俵屋』の老女将・染が、せいの長屋で同居することになって2か月半。せいは、幼なじみのチカから3人の幼子の世話を押し付けられ預かることになってしまう。子どもの面倒をみてなんて見くびられているのか、子持ち女は図々しいのか。

 

その後も、チカは突然来て子どもを預かってほしいと言う。しかたなく染や長屋の住人が面倒をみるが、チカは子どものいないせいを軽く見ているのか。

 

チカの切羽詰まった事情を知り、せいは良い方法はないかと思案します。

 

転んで骨折した寅太に付き添い骨接ぎへ行くせい。骨接ぎで風邪も診てくれる評判のいい医者・坂本が独り身と知り気になりはじめ、10も年上だけど骨接ぎの女房も悪くない、と胸の中に小さな灯りがともる気がします。

 

老女将・染のひとり息子・松太郎が菓子屋『俵屋』を再建するために修行中と知り、夫婦で営む小さな店、その女将が自分だったりしてとせいの妄想がはじまる。

 

しばらく『とくとく亭』に来ていなかった幼なじみの春次郎が大坂の本店へ栄転となり、ゆくゆくは番頭になり店のひとり娘の入り婿になるらしいと知り、せいは、ちょっとわくわくした自分の頭を叩きたくなる。

 

次々と嫁入りする女中仲間をあんな男で手を打って物好きね、自分にはもっといい縁談が舞い込むとせいは信じていたのに‥

 

残り物に福ありといいますが、私の福はどこで、もたもたしているのでしょうか

せいは、神田明神で手を合わせてつぶやく。

 

 

両親を早くに亡くし兄姉とも疎遠で、自力で生きていかねばならない。せいは、人さまに迷惑かけないよう心掛けていますが、遠慮しすぎて自分の思いを表現できずにチャンスを逃しているかもしれません。

 

そのわりに、現実以上に理想が高く、軸足がぐらついている気がしなくもないです。

でも、大丈夫、婚活も仕事もファイトだよ!