秣桶(マグサオケ)の犬みたいに。
仕事はできるが、不運すぎる女探偵・葉村晶も老眼に悩まされるお年頃。
「ミステリ専門店のアルバイト店員」兼「客の来ない探偵社で調査活動休業を余儀なくされている調査員」の葉村晶(ハムラアキラ)が主人公です。
超高級シルバーマンションで暮らす私立魁星学園の元理事長から、人捜しを依頼されます。捜す相手は稲本和子(イナモトワコ)80歳前後の女性
調査の仕事は実に3年ぶりだ。腕が鳴る一方、ご無沙汰過ぎて不安もある
元理事長から、誰にも知られないようにと強く言われます。
葉村は情報を入手し調査に向かうが、和子は入居する有料老人ホームから外出したあと行方不明。和子の出身地の古い集落は高級別荘地として開発途中でした。
・別荘開発業者との土地取引の詐欺疑惑
・和子の娘は学園の理事で
万引きの疑いで拘束されている時に急死
・大金の入った不審なスーツケース
・多摩川河川敷で見つかった死体
・軽トラの運転席の死体
・高級別荘地の奥に「なにか」がある‥
別荘地に向かうため車を運転していると、背後から故意に追突され意識が飛ぶ葉村。身体じゅうが痛い、鼻血も出る、息が上がる、殺されかけたのだ。
秣桶の犬とは「牛の群れがおなかをすかせて牛舎に帰ってきて秣を食べようとしたら、秣桶に犬がいて秣なんか食べないのに居座り、牛に秣を食べさせまいと吠え続ける」自分には必要ないものを手放さずにいて、嫌がらせする人のことだそう。
登場人物が多いです。富裕層一族ですが皆えげつない。魁星学園の理事・職員達は親戚関係にあり、どんな利害の立場なのかを覚えておかないと「?」になってしまいます。複雑な家族関係で話が二転三転。
50代になった葉村晶、不動産も株も金も宝石も持っていない。体力も記憶力も眼も歯も衰えつつありながら懸命に仕事します。
クセの強い高齢者が多く登場し、そのなかで葉村の若さと常識力が際立っています。
依頼された仕事に命がけで向き合い、ケガしてぼろぼろになっても、決まった報酬しか請求しない。悪い奴らに都合よく利用された気がしなくもないのですが、葉村の美学、なんでしょうね。かっこいいです。

