奈良の都、最大の醜聞
女帝と「日本三悪人」道鏡の許されぬ恋の真相は?
756年、聖武天皇崩御。男子がいなかったため中継ぎとして、娘の阿倍内親王<のちの孝謙天皇>が即位していました。しかし、藤原不比等の娘でもある母の光明子が実権を握り、思うようにならないストレスフルな日々の阿倍は体調を崩し、特殊な呪法や祈祷で治療する禅師を訪ね、仏教に傾倒していきます。
病に臥せった阿倍を、禅師・道鏡が治療し回復させます。治療の術の極意は心の底を覗くことで病を治すこと。背が高く気品のあるイケメン道鏡41歳を、4歳年上の阿倍は信頼し身も心もゆだねるようになり、スキャンダラスな噂がささやかれます。
やがて阿倍は、藤原南家の恵美押勝が擁立した淳仁天皇に皇位を譲り上皇となりますが、騙されたことに気づき、押勝を倒し政権交代し、称徳天皇として再即位します。藤原一族を遠ざけ、仏教にもとずいた公平で平等な政治をめざす女帝・阿倍を、アドバイザー的存在の道鏡が公私ともに支えます。
今までの道鏡の人物像は、世間知らずな女帝を色恋営業で操った極悪な怪僧のイメージだったのですが、ストイックに過酷な修行を重ね呪術をマスターした清廉な僧侶として描かれています。なるほど、こういう解釈もアリかもしれないと今までの道鏡イメージを改めたくなりました。
未婚・子なしの女性天皇は、次の天皇にふさわしい皇族を見つけなければなりません。そんな時、宇佐の八幡から「道鏡を天皇の座につけよ」とご神託がくだったことで大騒ぎとなります。
道鏡が女帝の寵愛を利用し天皇になろうとしたと噂して、陥れようとしている。その黒幕はだれか?なかなかスリリングな成り行きであります。
道鏡は大友皇子のご落胤説が出てきます。もしそうなら、道鏡が天皇になっても皇位乗っ取りとは言い切れない展開です。
大海人皇子とは父違いの兄弟であることを知った中大兄皇子が、大海人皇子を排除し実子を次の天皇にしようとした説も、興味深く読みました。
道鏡は本当は優れた僧侶だったのに、藤原一族の陰謀で貶められ歴史上でも不当な扱いをされているのでしょうか。もしそうなら怨霊となっても不思議でないけど、立派な僧侶が怨霊になるなんてことは、ありえなさそうだし。
Geminiに質問したら「日本三悪人」とは、道鏡・平将門・足利尊氏の3名で朝廷に逆らった悪人との答えでした。
通説をひっくり返すような話の流れに、読みごたえがありました。
最後は意外にも幻想的なハッピーエンドとなります。

