誰にだって、

逃げたい時がある。

この上なく優しく

ちょっとだけ、お節介焼き。

尼寺で暮らす皇女の手が

現世に苦しむ人々の心を救う。

 

洛中から北東に一里

比叡の山裾に建つ

林丘寺(リンキュウジ)は

皇女をトップにいただく

宮中のように豪華な寺。

 

元瑶(ゲンヨウ)83歳も皇女であり

林丘寺で尼となり

姪に寺での地位を譲り

気ままなリタイア生活

さまざまなトラブルが持ち込まれ

知恵と優しさと年の功で

円満解決していく

林丘寺を舞台にした連作時代小説


登場する尼達の会話が御所言葉(?)

おもうもうな=うっとうしい

おにぎにぎ=にぎやか

あらしゃりますえetc.

雅な言葉遣いに和みます。

 

林丘寺に仕える

梶江静馬(カジエシズマ)25歳は

24年前、両親を失い

林丘寺で育てられ

7歳の時

養子として引き取られたが

大雨の日、養家に馴染めず飛び出し

寺に戻ってしまった。

濁流で養父母が亡くなったことを

数日後に知る。

 

家に留まっていたら

養父母を避難させることが

できたのではないか

自分のわがままが養父母を

死なせたとの呵責に

今も苛まれている。

静馬は育ててくれた元瑶を

慕い尊敬し相談を持ちかける。

 

村の女が林丘寺に駆け込み

 夫と離縁したいと言う‥

藪医者の汚名を晴らそうと

 林丘寺に助けを求める‥

縁談から逃げ林丘寺で

 尼の見習いしているが‥

 

駆け込んできた人々を

迎え入れる林丘寺

寺とは悩める衆生にとって

救いの場所、でも

 

端からこの寺にいるものは

どれだけ苦しゅうなっても

どこにも駆け入る先がない。

 

出家した元瑶は

寺に駆け込んできた悩める人々に

優しく手を差し伸べるが

元瑶自身は、どこへも

逃げることができない

 

静馬は思った、逃げていいのだ!

 

逃げること。

逃げてどこへ行くのか?

そんな問いを

投げかけてきてる気がしました。

 

まがまがしい世間から離れた

山の中のお寺

華やかな雛まつりや七夕の行事

興味深く読みました。