「呑兵衛の聖地」でまずは1杯やりますか⁉
〝せんべろ〟ってどんな意味かなと謎に思いましたが〝千円でべろべろに酔える酒場〟の意味らしく〝まねき猫〟が店の名前とのこと。そんなリーズナブルな立ち飲み居酒屋で繰り広げられる人間模様が書かれています。
私事でございますが、下戸で全くお酒がイケナイ口のため、吞兵衛?飲酒?話についていけるのか?後ずさり気味でしたが全然大丈夫でした。
篠崎明日美(シノザキアスミ)は一人暮らしの42歳。コールセンターで働く非正規雇用。救急病院から父親の時次郎が倒れたと電話が入るが、父とは十年以上、連絡すら取り合わず没交渉だったのです。
父の容態を心配するより、面倒なことになったという思いのほうが強かった。冷たい人間なんだろう。ますます憂鬱でため息をつく。
時次郎は脳卒中の後遺症で完全回復は難しい。入院費用もかかるし、時次郎の店〝まねき猫〟を売ろうとするが、借金が300万円!常連のひかりさんや求さん達と一緒に店を継続しながら、借金返済していくことになります。
店の手伝いとコールセンターのダブルワーク。休みの日は時次郎の入院する病院へ行き洗濯物を引き取って来る明日美は、疲れて毎日へとへとだ。
時次郎が退院し特養へ移ることになる。このあたりの大変さ煩雑さもきちんと描写されています。振り返ると私も母が脳出血で倒れ入院手術、転院、リハビリ病院、老健、特養と目まぐるしく動き回ったことを思い出し、明日美の大変さが、ひとごとではなく話に引き込まれました。
明日美は、父の時次郎と音信不通状態から、いきなり介護を担うことになり気持の整理ができない。外面が良く内面は最悪な父に猛反発していた。なのに、父は店で「子ども食堂」のような食べるのに困っている子に食事を与えていた。自分は父からほったらかしにされていたのに!許せない!
そんな荒ぶる明日美も、店の常連客や小学校の同級生たちと接し、心の内を話していくうちに気持ちが変化してきます。ハッピーエンドとまではいかなくても、明るい方向に進んでいきます。気持ちの持ち方次第で考えも変わるってことありますよね。
まねき猫とは、自然と人が集まってくる時次郎のことかもしれない。
