狂騒と絶頂、虚飾の果て

証券会社は男の世界ばい。女の出る幕はなかとよ

運がどこまで保つか、あんたが見届けてやんなさい

 

1986年バブル前夜の様子から物語はスタート。伊東水矢子は営業、小島佳那は事務員として証券会社の福岡支店に同期入社した。貧しさから抜け出ようと野心に燃える営業の水矢子、貧しさにあえぎ働きながら大学進学をめざすお茶くみ事務の佳那。似ていないようで似ている、現状に不満を抱き、野心の高さが二人を近づかせる。

金を儲けるだけじゃない、会社でもどこでも頂点に立つんだよ。皆を見下ろすんだ。

バブルの価値観は、人を蹴落とし這い上がっていくこと。〝蜘蛛の糸〟を見つけたら掴んで離さない、誰にも渡さない、自分さえ良ければいい、ここから抜け出してやる。

 

光と影、表舞台と裏舞台、陽の水矢子と陰の佳那。

 

得意先を増やし、営業成績トップに躍り出る華やかな水矢子は、同期の望月と結婚し東京に栄転となる。

融通の利かなさそうなクソ真面目な佳那は、ようやく大学受験に合格し東京に移る。

 

そして、政府保有のNTT株放出フィーバー。

あのころ‥私事で恐縮ですが、NTT株を申込しましたがハズレました。地味に中国ファンドしてたところ担当の証券レディに勧められ、1株申込んだんですよねえ。なんでこんなに熱狂するんだろうと不思議でしかたなかった。正体のないまやかしに皆で踊らされ、魔に取りつかれたんじゃないかと振り返って思うくらいです。

 

やがて、バブル崩壊にともない状況は急降下。なにもかも落ちていく、どん底へ。

バブル無縁の、ずっと低迷したまま這い上がれない佳那は、何を血迷ったのか占い師にみてもらい、そこで言われたことが

あなたは風の人よ。風のように自由にあちこち行くの。その代わり、孤独かもしれない。何も持たないし、もちたくないの。

風の人?佳那が?

風の人っていうとふわふわと吹かれて漂うイメージを持つかもしれないけど、本当はそんな身軽なものじゃない。風の人は、ぷつぷつと係累が切れる人なのよ。

あ‥そうか‥わたくしも風の人かもしれないと腑に落ちた気がして、どちらかといえば水矢子より佳那の感覚を身近に感じました。

 

そして、二人とも衝撃的な結末を迎えます。光のない闇夜の公園より深い闇。

キラキラと輝いていたはずのバブルなのに

幸せになろうとしていただけなのに、なんでこうなるの?

真珠が何を意味し、ダイヤモンドは?

 

読みながら、ジェットコースターのような生き方を偽体験した気持ちになり、ぞわっと身震いしました。バブルの一面を知るのにも、ふさわしい本かなと思います。