じい散歩

夫婦あわせて、もうすぐ180歳。中年となった3人の息子たちは全員独身。

89歳の新平と1歳年下の英子は小さい頃から顔見知り。

成長した新平は長身でがっしりと体格がよく、一本気で頼りがいのある青年になった。

日々、熱心に体を鍛えている新平は70代くらいに見える若見えアクティブシニア。

この世代はハングリー精神とガッツありますよね。

長男の孝史は幼い時分から身体が弱く、神経質で、対人恐怖の気があり、ほとんど不登校で高校を中退したあとは、ずっと定職に就かないまま家にいる。もう52歳だった。

子は親の背中を見て育つとも言いますがどうなんでしょう。

次男の健二はフラワーアーチストで、いつもひらひらの服を着て、赤青二色の奇妙なおかっぱ頭をしている自称長女。

やっぱり親の背中の影響が大きいのでしょうか。

三男の雄三は、くまのプーさんのぬいぐるみときらきらのアイドルが好きで、いつの間にか会社を辞めグラビアアイドルの撮影会を主催する会社を興していた。これが毎月、大変な赤字らしい。もはや毎年ではなく毎月。

親だって、自分の背中をしみじみ見ることなんてそうそうないでしょうし

もう、ここまで来たら成り行きで天に運をまかせるしかないですよね。

 

新平は年金とアパートの家賃収入があり悠々自適の日々。趣味はご近所を散歩しながら、ふらふらと建物を見て回り、ひなびた喫茶店でコーヒーを味わうこと。あとは昔経営していた会社の事務所にこもってエロ写真整理することが生きがい。

 

会社の羽振りのいい頃には、さんざん女遊びをして妻に浮気を疑われ、浮気相手と別れさせられたこともあり、今は罪滅ぼしなのか認知症気味の妻の介護を一手に引き受け、時々ふらっとじい散歩にでかけ息抜きすることが楽しみな新平。

行き先も告げずに勝手に出かけてしまう夫の浮気を疑うことは、認知症になっても片時も忘れない妻の英子。

 

生きてきた日々の積み重ねの結果かもしれない。じたばたしてもどうにもならないと悟り、いさぎよく受け入れる大切さが必要でしょうか。

今日を、悔いなく愛おしみながら過ごしたいと思いました。