極私的ブログ

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極私版、原田真二入門。

Amebaでブログを始めよう!

現在一般的に知られているのは、華々しいデビュー時の数曲のみ。

それ以降も名曲を大量に発表しているにも関わらず、一部のマニアのような人にしか知られていないのが現状である。

自分もデビューからの数曲しか知らず、その後の作品はベストアルバムで聞いた。
そして、その完成度の高さに驚く。

当時の時代背景、また当時の彼の年齢を考えると本当に信じられない。

こんな才能が埋もれていたなんて!

更にオリジナルアルバムを聞き、改めて驚愕する。

時を経ても全く古さを感じない、何十年も聞き継がれるべきアルバムだ。

爆発的に売れたファーストアルバム以外、現在ほとんどのアルバムが廃盤のため入手困難となっており、簡単に聞くことができない。
しかるべき行程を経て手に入れなければならない。

何でも簡単に手に入るこの時代において、こんなに素晴らしいアルバムが容易に聞けないままでいいのか?
怒りさえ、感じてしまった。

それがこのブログを始めたきっかけである。

良いものは良いと認められない世の中なんておかしすぎる。
そして、なんと勿体ないことだろうと。

彼の音楽は広く大衆に聞かれ、歌われるべきである。

多くの人々が彼の音楽に満たされることを願い、これから自分なりに紹介していきたい。

プロローグの最後として紹介するのは、リリースが1981年、彼が22才時の作品。

デビューのきっかけとなったオーディション用デモテープの中の一曲。

詞・曲 原田真二
「I wanted to stay in love with you」

http://www.youtube.com/watch?v=h0qXNQ_-QIU&feature=youtube_gdata_player

彼の音楽の持つ、パワーに満たされて欲しい。

※動画サイトの埋め込み方法が分かりません。
http://www.youtube.com/watch?v=h0qXNQ_-
で検索すると聞くことができると思います。
面倒かと思いますが、とにかく聞いて下さい。

数年前、ひまつぶしに覗いた動画サイトで彼に再会した。

小さな画面の中で、あの日の少年が踊るようにピアノを弾き歌っていた 。

一瞬にして、当時の感覚が痛みを伴い甦る。

いつの間にか、少年と一緒に口ずさんでいた。
驚いたことに、歌詞も諳じている。  
30年以上も経っているのに!

そして、何とも心地よい気分になった。
      ………
       
彼のデビューは衝撃的だった。

作曲、アレンジ、歌唱、楽器演奏、人を惹きつけるスター性…

当時の有名メロディメーカーたちでさえ、その才能に揃って驚愕した。

だが、意外にも早く表舞台から消えていく。 

当時、マスコミは彼を生意気という一言で片付けた。

テレビで見る彼は、言われてみればなるほど生意気に見えた。

熱狂的な歓声に眉をひそめ、自らをアーティストと称し、しばしば不機嫌そうな表情を見せていたからだ。

再び追いかける中で、様々な事実が明らかとなる。

少年は、たった一人で戦っていたのだった。

高い志を持って挑んだ世界で、その苦悩はどれほどのものだったろう。

時代が少しずれていたなら、凡庸な容姿であったなら…
間違いなく状況は変わっていただろう。 

話を戻そう。
聞いて歌って心地よく、覚えやすいが飽きないメロディ…
これこそが、ポピュラーソングだと思う。

彼の生み出した楽曲は、大衆に広く知られる価値あるものと、確信する。


ほどなくして、彼は自分の街へも現れるようになる。

着飾ったお姉さんが、誇らしげにレコードを抱え歩いているのを見た。

近所の同級生の部屋の壁にも、彼の笑顔があった。

商店街を歩いている時でさえも、彼のメロディが聞こえた。

テレビの中でも、熱狂的な歓声と共にあった。

夜空を見上げながら感じた、何とも言えない気持ちが大きくなっていく。

彼は自分だけの天使じゃない!

歌っている彼の表情が、不機嫌そうに見えてきた。
怒っているようにも見える。

雑誌やテレビも、彼を好意的には思っていないようだった。

彼は性格が悪いんだ。
だって、天は二物を与えずって言うじゃない?!

自分だけの天使でなくなった彼に腹を立て、無理矢理嫌いになった。

思春期は残酷だ。
周囲は目新しい物事で溢れている。
やがて、何もなかったように忘れていった。

思いは過去のものとなる。


…それから30年余りが経過した後、
再び彼を追いかける日々が始まった。









1977年、中学生だった。
勉強の合間につけたテレビから、不思議なメロディが流れてきた。

ブラウン管には、天使を思わせる少年が映っている。

その人は気持ち良さそうに体を揺らしながら、ピアノを弾いていた。
とても軽やかだ。

ピアノに合わせて歌っている。
特徴的な声に、胸が少し痛くなった。

やさしい声だと思った。
その声を言葉では説明できない。
(少し大人になり、ハスキーという言葉を知ることになる。)

司会者はその人を18才の大学生だと紹介した。
そして、その不思議なメロディは彼の自作だと言う。

「この人はいったい何なんだろう?」
それが彼に出会った最初の印象だった。

それから、毎日毎日彼を追いかけた。
学校の帰りには、書店で掲載雑誌を探した。

出ているラジオは全てチェックし、カセットテープに吹き込み何度も聞いた。

時折、夜空を見上げて夢想した。

バレリーナの少女やプラスチックの人形のような女性…
自分と置き換えてみたりもした。

切ないような悲しいような、何とも言えない気持ちになった。