人間界でいうと定年退職は、還暦を迎える日まで。
有給消化はある。
でも、もうとっくに辞めている。
私は弟と全く違う生き方をしてきた。
弟は安定を求める。
堅実な生き方。
石橋を叩いて渡る弟
私は叩いて壊しながら走っていく。
辞めたことは黙っていた。
後ろめたさか、何を言っても私のことはわからないだろうという想いで、言わなかった。
言えなかった。
あれから5年が経とうとしている。
父が亡くなった時も、その2年後に母が亡くなった時もひた隠しにした。
もう明日から大っぴらに出来る⁈
そんな自分をバカらしく思えたりもする。
心の片隅にあったモノの解放。
それが解放だといいな。
さっき、弟からLINEが来た。
「明日で還暦だね、ちょっと早いけど、おめでとう」
心の底では弟のその言葉を待っていたのかもしれない。
早く終わりにしたかった。
「まだ働けるの?」
「いや、もう終わったよ」
「悠々自適だな、老後を楽しんで生きてね」
「ピンピンコロリでいけるように健康に気をつけるよ」
弟だけの言葉ではなく、父母の気持ちも乗った気もした。
ありがとう。

