せっかく世界遺産のアイト・ベン・ハドゥまでもう少しというところまで来たのに、私の足は動きませんでした。
何でかは自分でも分からない。
とにかく止まってしまう。
疲れが溜まってたのかな…
歩いてバス会社まで来たからかな…
モロッコ人のしつこさに疲れたのかな…
アイト・ベン・ハドゥに行くのちょっとめんどくさいな、と思う気持ちが体に現れてしまったのかな…
動きたい気持ちと動けない体。
そしてそれらの板挟みな心。
涙がポロポロ出た。
悔しい。
動けない自分がとにかく悔しい。
日本から遠く離れたこの場所にまた来れることが出来るだろうか。
今、この機会を逃すともう二度とこの場所には来れないんじゃなかろうか。
見たい!見たい!
この目で見たい!!
世界遺産を見たい!!!
貪欲な気持ちとは裏腹に体は言う事を聞かない。
悔しい。
そして優しくておせっかいなモロッコ人のことだから、こんな泣いてる姿を見せたら
『どうしたんだ~!なんでこの子は泣いてるんだ~』と絶対ワラワラやってくるに違いない。
バレないようにそっと隅っこの方へ移動した。
涙がこぼれないように上を向いた。
赤くなった目を見られないように目をつぶった。
頬を伝わる涙を肌で感じながら自分で自分を慰めてた。
これは体からの命令だよ、きっと自分では分からないくらいに体は疲れてるのかもしれない。
はたまた未来からの忠告で、このままアイト・ベン・ハドゥに向かってたら道中に事故にあってたのかもしれない。
そう、きっと何かしらあったんだ。
私はポジティブ。
きっとこの出来事には意味があったのだ。
そう思おう。
少し休憩した後、ゆっくりと動き出した。
バスのチケットは夕方の便を既に買ってしまったし、せっかくだからここでゆっくりとしよう。
重い荷物を持ち直して、ふらふらと歩き始めた。
どうやらイベントがあったらしい。
そういえば、のりこさんがイベントに行きたいんだけど行けないんだよね~と言ってたのを思い出した。
現地に住んでる人が行きたいけど行けないイベントなのに、ふらっと来た旅行者がたまたま行けちゃうだなんて何たるラッキー!
そうそう、そういう出来事がたまにあるから捨てたもんじゃない。
きっと今回もここでゆっくりとしなさいよ、という神様からのお告げだったのかな。
ステージ的な物もある立派なイベントでしたが、もう終わってしまったらしく、後片付けが始まってました。
少し残念だけどこれも運命!
お店をちょろっと見て回りました。
どれも本当に素敵なんだけどね。
買って帰る訳にはいかないし、持ち歩く訳にもいかないし…。
ものすごく悔しい!!
かわいい雑貨がたくさんあるモロッコ。
処分したいけど出来ないから持ち歩いてる物もたくさんあるから、この際モロッコから日本に送ろうかな。
今まで買い物はグッとガマンしてたけど、ここにきて爆発しちゃいそう!
見て!
貴重な光景が見れたわ。
タジン鍋我が家に欲しいけど、さすがに重くて持って帰れないし配送するにも重いからすごくお金掛かりそう~!
昔韓国に旅行行った時、石鍋を買って持って帰った友達を思い出す…。笑
ずっと重い重いと言いながらちゃんと持って帰ってました。
今でこそ日本でもどこでも手に入るけど、当時は石鍋ってあんまりなかったからね。
よし、腹ごしらえだ!
モロッコらしい食べ物食べなきゃ。
クスクス食べたい!!
観光客も入れそうな良い感じの店に決める。
テラス席もあって開放的!
中途半端な時間だったからか、お客さんは店員さんの知り合いみたいな人がテラス席にいるだけだった。
店員さんもその人とベッタリ話してる。
まだ完全に立ち直れてなかった私には1人でそっとしてもらえる環境が有り難かった。
世界最小のお米を使った料理。
って思ってたけど、調べたら小麦粉を小さく丸めた物を使って~とあったから、米ではなくて世界最小パスタみたいな感じなのかな。
アフリカとかのイメージもあるけど、モロッコの伝統料理なんだって。
あ、でもモロッコってアフリカだった!
ついついアフリカってことを忘れちゃう。
優しい味ですごく美味しかった!!
これはチキンと野菜のクスクス。
野菜本来の自然の甘さとチキンのホクホク。
体にも心にも優しい、素敵な味。
英語のメニューがあったから、値段設定は若干高めだけど、それでもなかなかの安さでこの味が食べれれば最高!!
最初にパンとオリーブが出されたんだけど、これまた美味しいの!!
モロッコのどこかで食べたパンはカチカチで、それ以来モロッコのパンは美味しくないってイメージがあったんだけど、全然そんなことなかった!
むしろ美味しい!
一度持った印象ってそのまま引きずるから恐いなぁ。
ここで食べてなければ私のモロッコのパンに対するイメージが覆ることはなく、その後も食べる機会を遠ざけてたかもしれない。
こういうのが運命というんだ。
パンの美味しさに気付かせてくれてありがとう。
大げさだけど、小さな事でも全てに意味がある。
ゆっくりと食べながらほっこりしてたら、店員さんが近づいてきてミントティー飲む?って聞いてきた。
少し悩んで、飲む!と言ったらニコっと笑ってOKと言ってくれた。
しばらくしてこれが運ばれてきた。
まさかのクッキー登場にすごく嬉しくて心が癒されました。
そして美味しい!!
時間もまだまだあったので、実家宛にポストカードを書きました。
出発前は国ごとに書こう~♪とか思ってたけど、実際はそんなこまめに書けなかったなぁ。
せめてこういう時間がある時にだけでも書いとかないとっ!
のんびりと過ごしました。
気持ちを落ち着かせました。
いつもより多めにチップを置いて帰りました。
全然干渉されないで過ごせた貴重な時間。
たまにはちゃんとしたレストランに入るべきだな。
普段がケチケチしすぎな事に反省…。
近くのお土産やさんでさらにポストカードを購入。
もう気持ちが落ち着いたので、お節介な店員さんとの雑談も笑顔で出来た。
話も盛り上がって楽しい時間を過ごせた。
そして堂々とお釣りを誤魔化せれた。
たかが数十円なんだけどね、何だかとても悲しいのですよ。
さっきまであんなに笑顔で話してたのにな。
その笑顔の裏にはどうやってお金を誤魔化そうかとか考えてたのかなぁとか。
悲しいなぁ。
1円玉を『はい、10円玉だよ』と笑顔で返すような堂々ぷり。
モロッコの通貨はもうちゃんと分かってるよ。
返されたお釣りを手の平でしばし見つめる。
切なくなって複雑な表情で自分の手の平から相手の顔へとゆっくりと視線を移す。
私の複雑な顔に気付いた店員さん、ちょっと焦って目が泳いでた。
でも私はもう何も言いたくなかった。
感情を押し殺し、複雑な表情のまま目だけ細めて微笑んだ。
きっと気持ち悪い顔だったんだろうなぁ。
またしてもモヤモヤしてお土産やさんを後にした。
郵便局で切手を購入。
さ、ゆっくり休息できたことだし
移動だ!!
マラケシュ行きのバスに乗り込む。
どうやら道中がかなりの素敵な景色らしい。
それは楽しみだっ!









