どんよりくもり空。
なんだか泣きたい気分を堪えているかのようで、
ときどきぱらっと、
雨粒が顔に当たります。
「東京23区とか平野部は雨になりそうって気象予報士は言っているのに、
大雪の警報級の可能性が出ているのはなぜ?」
ご質問が多かったので、私の考え方をお伝えしたく思います。
気象庁の予報官は、
予想資料から起こりうる様々なシナリオを想定しています。
悪い事態も考えて、
警報を出す可能性があるかも、と事前にアナウンスしてくれているのです。
急に大雪になって、道路を閉鎖したり、停電が起きたり…
いきなり警報を出したところで
「聞いてないよ~」「間に合わないよ〜」になるためです。
備えあれば憂いなしのメッセージなのです。
では、悪い想定とは!?
キーワードは、「先行降雨」です。
今回、関東の天気の崩れは、
2回に分かれる見込みです。
きょうの午後、低気圧はまだ離れているけれど、
先に沿岸にのびた前線で降る弱い雨。
深夜からあす、低気圧接近の影響で降る本降りの雨。
きょう夕方に降るのが、先行降雨です。
この先行降雨の予想がとても難しい。
というのは、先行降雨が降っている時間が長くなると、
上空の寒気を引き込んでしまうからです。
経験上、上空1500m付近の気温が0℃より高い場合、
落ちてくる過程で、途中で溶けてしまうため、
まず降るのは、雨です。
この0℃線に注目してみてください。
朝の段階では、関東北部まで北上していた0℃ラインは、
雨の降り出しとともに南下し、
夕方には東京付近まで下がる予想になっています。
このため、先行降雨が寒気を引きずり下ろすパワーが強いと、
予想以上に上空の気温が下がってしまう可能性があるということです。
2℃を割り込んできたら要注意です。
そしてもう1つ、雪で影響が出るレベルになるかどうかのポイントは、
「東風」です。
東京都心では、風向きが「北東」、「北北東」などの時は、
まず雪が積もることはありません。
東よりの風は海を渡ってきて、湿り気が多く、陸地の風よりやや気温が高いのです。
これまで積雪が観測されたときの東京の風向きは、
「北」や「北北西」、「北西」です。
風向きが、北北東~東のうちはよいですが、
北~北西に変わってきたときは、
内陸からの冷気が入って、気温がいっそう下がり、
雪が降り、積もることを覚悟したほうがいいでしょう。
いまのところ、東京23区など平地は雨、
深夜に雪が混じったとしても積雪はないだろうという見解は変わりません。
ただし、先行降雨が長くなったり、風向きが北に変わった場合は、要警戒です。
なお、関東南部でも、
秩父~多摩~箱根方面は、念のため、大雪に備えておいてください。
中央道や山梨方面から乗り入れる電車なども、
あす朝は、気を付けておいた方がいいでしょう。