心配です。

実りの秋を迎えている東北太平洋側に、大雨が迫っています。

 

特にきのうから、全国のあちらこちらで、

1時間100mmクラスの猛烈な雨が降り、

記録的短時間大雨情報が頻発しています。

原因は、前線と熱帯低気圧。

天気図には“混ぜるな危険”と書きたくなるような2役です。

 

そもそも、熱帯低気圧が北上すること自体、危ないです。

というのも、熱帯低気圧とは、

風の要件が、台風の強さに満たないだけであって、

雨を降らせるポテンシャルは、さほど変わらないからです。
 

熱帯低気圧というと、私たち気象予報士がすぐに思い出すのは、

神奈川の玄倉川でのキャンプ事故です。

1999年、当時も熱帯低気圧が関東に接近し、神奈川県の山沿いを中心に、

300mmを超える大雨になりました。

注目したいのは、このとき東北太平洋側でも、相当な浸水被害が出たこと。

熱帯低気圧の接近だけでも、床上浸水が起こったのに、

さらに、ここに前線の大雨が加わることになりそうなのです。

 

今夜には、前線上に低気圧が2つ発生する状況となります。

東北を横切る前線の南側では、

熱帯低気圧をまわる反時計回りの湿った風が吹き込み、

北側では、オホーツク海に中心を持つ高気圧をまわる時計回りの湿った風が吹き込みます。

相反する性質の風は雨雲を発達させます。

 

熱帯低気圧や低気圧、前線付近は局地的な大雨になりやすいですが、

特に、東北太平洋側は、東風が南北に連なる山地にぶつかる地形的な影響も働き、

ことし一番の雨の量が多くなるかもしれません。

大雨は強弱を繰り返して、月曜日午前中まで続きそうです。

あす昼間、いったんやんでも油断しないようにしたいところです。

川には近づかないようにし、

気になっても、田畑は夕方以降は見に行ってはいけません。

大切なものを高いところに移動するなどの浸水対策をお願いします。

 

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