まるで水道のようです。

日本付近は水蒸気の通り道となっていて、

どこで積乱雲が発達してもおかしくありません。

けさは東北で、猛烈な雨が降り、

記録的短時間大雨情報が相次ぎました。


そして、昼前には、東海で雨雲が発達し、名古屋市内で非常に激しい雨。

東海道新幹線が一時運転見合わせとなりました。

北海道から九州まで各地で雷雲の発生の確率が高くなっています。

あすにかけて天気の急変に注意です。


前線に向かって、暖かく湿った空気が流れ込む状態が持続するためです。

特にあす、九州北部~山陰付近で雨雲が局地的に発達し、
雨の量が短時間で多くなるおそれがあります。

 

湿った空気を運ぶ台風10号、非常に強い勢力にまで発達しています。


このあとも発達しながら北上を続けて、特別警報クラスの勢力に発達。

あす夜から日曜日の午前にかけて沖縄に接近、
その後、日曜日に奄美付近を通過し、

月曜日にかけて九州に接近ないし上陸のおそれがあります。
 

気象庁から発表された風の予想でびっくりしたのが、最大瞬間風速の数値です。

沖縄や奄美で85m!

過去80m以上の猛烈な風は、今は観測していない富士山を除き、

沖縄・宮古島85.3m(1966年9月5日)、

高知・室戸岬84.5m(1961年9月16日)、

沖縄・与那国島81.1m(2015年9月28日)の3回のみ。

経験のないような記録的な暴風のおそれがあります。

中心気圧が特別警報の基準に達しなくても、

この暴風の基準で、特別警報が出される可能性が高いです。

住宅の損壊や長期間に及ぶ大規模停電、物流のストップなどを想定して、
過去の台風対策以上の備えを済ませておきたいところです。

 

さらに、台風中心付近の凝縮した雨雲がかかって、猛烈な雨を伴います。

動きが遅くなるために、大荒れの天気が長引くでしょう。

台風の北上に伴って、南東からの湿った空気が流れ込むため、

九州や四国、紀伊半島は断続的に激しい雨が降り、

月曜日にかけて、記録的な雨量になるおそれがあります。

鹿児島や宮崎県内では、一級河川の氾濫も考えられるため、

台風接近前にダムの水が放流されるかもしれません。
九州の河川では、事前放流で晴れているうちから増水することもあるため、

自治体からの情報に気を付け、川には近づかないようにしましょう。

 

月曜日にかけて、台風10号は勢力を維持した状態で、
九州にかなり接近する予想です。


上陸しなかったとしても、台風の暴風域が広く、

また風が強まりやすい台風の進行方向右側に西日本があたるため、

九州はもちろん、中国・四国まで広範囲で風が吹き荒れ、大荒れになりそうです。
7月の豪雨で被害の大きかった九州北部は、

月曜日の昼前後が風のピークとなりそうです。

 

また、過去には台風が500km以上離れた関東で、
台風外側の雨雲いわゆるアウターバンドの雨雲により、
局地的に積乱雲が発達し、竜巻が発生したケースがあります。
台風の進路から離れている東海や関東も、
週明けは、局地的な大雨や激しい突風に注意が必要です。


これまでの経験が通用しない台風。

停電や断水が長引いたり、物流が止まることを想定し、

できうる限りの備えを整えて、乗り切りましょう。
具体的な対策については、きのうの記事もご覧ください。

 

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