九州南部では、
きのう夕方には、降り始めからの雨量が1000mm超え。
1883年から観測開始という長い歴史を持つ鹿児島市でも、

きのう1日の雨量が375.0mmで、136年の歴史で最大となりました。

あぁ、もうこれ以上降ったら危なすぎるという局面で、
梅雨前線は九州付近では南にたわみました。
九州南部で予想されていた数時間にわたるような猛烈な雨は降らずにすみました。

一方、西でたわんだはずみで、
シーソーのように東が盛り上がったことで、激しい雨になったのが東海や関東。
東海では1時間に50mm以上の非常に激しい雨になり、
関東では東京湾周辺を中心に風邪も吹き荒れ、横なぐりの雨になりました。

出勤時も、通行を妨げるような木の枝があちらこちらに!

午後は、いったん梅雨前線の活動は小休止。
ただ、過去には雨が止んでから、
新たに大規模土砂災害が発生したケースもあります。
引き続き、危険な場所には近づかないでください。

先の九州北部豪雨や西日本豪雨の教訓もあり、
今回、九州南部のみなさんの避難行動は本当にすばらしかったと思います。

一方で、ここ数年、
災害レベルの大雨が格段に増えてきたなか、
みなを受け入れるほどの十分な施設がないことも浮き彫りになってきました。

県や市町村の垣根を越えた広域避難や
バリアフリー化を考えておかなくてはいけなくなりそうです。

一連の大雨の取材で、
鹿児島の方が口々に語っていたのが、1993年の8.6水害。

この1993年は、大冷夏で天候不順。
エルニーニョ現象に近い状況となり、
夏の高気圧が強まらなかった年です。

エルニーニョ現象が発生している今年も、まだまだ夏の高気圧は強まる気配を見せず、
長期予報でも、高気圧の北への拡大パワーは弱めの予想。
しばらく梅雨前線は北に押し上げられることなく、
九州南部から関東沿岸に停滞したままの状態が続きそうです。
そして、梅雨前線がまた北上傾向を見せた時には、
再び大雨に見舞われることとなりそうです。

目先懸念されるのが、来週半ば。
先ほど熱帯低気圧に変わった元・台風4号がめぐりめぐって長旅を経て、
日本海にやってくる予想なのです。

大陸で、雨を降らせるパワーを使い果たしてしまえばよいのですが、
ある程度、熱帯からの湿った空気を維持すれば、
また、西・東日本の広範囲で大雨になることも考えられます。

例年なら、
梅雨も後半戦、
去年に至っては、関東はすでに梅雨が明けていました。
ただ、今年の場合、
西日本では、梅雨入りしてわずか1週間くらいしか経っていないのです。

今年の梅雨はまだまだ続きます。
梅雨末期の大雨はまだこれから。

自分の地域も
いつ何時大雨の危険が降りかかってくるかわかりません。
ハザードマップなど確認しておきましょう。
 
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コメントありがとうございました。

*“異常気象”とは、数十年間に1回程度の現象、
あるいは人が一生の間にまれにしか経験しない現象。
気象庁の定義では、具体的に、
ある地点・ある時季において30年に1回以下しか現れないような現象を“異常”としています。
もはや30年に1度が、3年に1度、1年に3度になってもおかしくありません。
ご指摘のように、生態系にも影響が出るかもしれませんね。

*いつもお読みいただきまして、感謝です。
きのうの午前の見立てでは、
岡山~兵庫あたりもものすごい雨になるのではないかと心配していましたが、
予想より雨雲が南にずれてくれました。
平年の雨の量が多い地域でたくさん降ることより、
むしろ去年の西日本豪雨のように、
瀬戸内海などふだん大雨にならないところで、
急激に雨が強まることのほうが被害につながりやすいので心配です。
これからもよろしくお願いします。