トンボ飛び交う秋の空。
朝は冷えましたが、日差しとともに風がやわらかくなってきました。

けさは、今シーズン一番の冷え込みになったところが多くなりました。
岩手県内でも、昨夜遅くに最低気温が0℃を下回って“冬日”となり、
本州でも初の冬日。
なお、予備情報ですが、
岩手・薮川は、14日に0.0℃を観測していたので、
本州初の氷点下ではありません…
気象の世界の氷点下は、氷点以下なので、0℃ちょうども含みます。

この列島に流れ込んでいる寒気の影響で、日本海は冬の雷。
JPCZの雲列が、隠岐の島で1時間に100mmの猛烈な雨を降らせました。
記録的短時間大雨情報が出されています。
山陰~北陸付近はあすにかけても、
雷雨の起こりやすい状況が続きそうです。

そして、今晴れている関東も、夜遅くから雨が降り出しそうです。
 
最近、関東の天気予報は取り扱い注意です!
特に、あすとあさってはマークでは表現しきれません。

あすの「くもり時々雨」の予報、
きのうは冷たい雨と予告しましたが、すみません、変わってきました!
雨が降るのは、朝までと夕方以降で、
昼間はまた雲が切れて晴れ間がのぞくかもしれません。
そして、あさっての「晴れ時々くもり」の予想も、まだペンディングです。
海から湿った風が吹き込むと雲が残り、  にわか雨の可能性もあります。

「あすの関東どう思いますか?くもりですかね?」
きのう夕方の解説担当の気象キャスターから質問を受けました。
きのう夕方発表の東京のきょうの予報は「くもり」でした。

最近、気象庁のコンピュータが弾き出す予想が不安定です。
春には92%を誇っていた的中率は、秋雨前線が登場してから75〜84%まで落ちています。
予報は6時間ずれれば、夜の晴れが昼の晴れになり、気象庁のマークからかけ離れた印象の空模様になることもしばしば。

「あした昼間は晴れると思う!」
「では、くもりマークですが、晴れ間も出そうって言います」

このところ、雨雲が上空の“波に乗ってやってくる”法則があります。
予報を組み立てる時は、
地上の天気図のほか、
上空1500m、3000m、5000m、10000m付近などの天気図を見ながら、
立体的に空をイメージしています。

こちら上層の天気図。
やや専門的な話になりますが、
最近、地上で雨雲がわきやすくなるのは、◯で囲った+部分が通る時。
『正渦度移流』といいます。
プラスとマイナスが交互に波打つようにやってきていて、
プラスが通ると「くもりや雨」、マイナスが通ると「晴れ」の傾向にあります。

きょう昼間はマイナスが通り、今夜以降はプラスが通りそうだから、
昼間は「晴れ」、夜間は「くもりや雨」と、予報を組み立てました。
あすも、朝まではプラスだから雨が降りやすく、昼間はマイナスだから晴れ間がのぞく可能性があります。

気象庁のコンピュータ予報が不安定な時は、
基礎の基礎に立ち返ったほうがいいのかもしれません…
この『正渦度移流』は、気象予報士試験の常連問題。

とはいえ…
それでもやっぱり、未来のことをピタリと予告するのは、至難の業。
当たる天気予報目指して、気象予報士はみな日々奮闘中です。