以前、勤めていた会社で、仲良くしてくれたヒトミ(仮名)。
彼女はいつも顔色が悪かった。
廊下の向こう側から彼女が歩いてくると、いつも右側に身体が傾いているから、すぐにヒトミだとわかった。
痩せすぎの体型、眉間に寄せたシワ。
笑うと、少し挑戦的な顔になる。
ヒトミは、私の2歳年上で、会社では2期後輩だった。
初めて、2人でご飯を食べに行った時、ヒトミは言った。
「あたし、素数が好きなんだ」
そして、
「人より、4年多く数学勉強してるんだよね」
と言った。
彼女には社内に敵が多かった。
男性社員は分かりやすい敵意と嫉妬を向けていたし、女性社員は彼女を怖がっていたし、ヒトミ自身も人を遠ざけているように見えた。
必死に自分を守っていただけかも知れない。
しばしば、自分を守るために、他人を攻撃した。
「生意気な女」
「頭良くても、性格がアレじゃ…」
いろんな人がヒトミのことを悪く言った。
私が会社を辞める時、ヒトミは「寂しい」と言って泣いてくれた。
でも、今はまったく連絡をとっていない。
なんだか、訳もなくイライラしていたら、ふと、ヒトミのことを思い出した。
ヒトミはイライラしてることが多かった。
いつも誰かの文句を言っていた。
あれから、10年以上経った。
今の私なら、彼女が抱えていた不安とか、寂しさとか、理解してあげられるとは思わないけど、「よしよし」と頭を撫でることくらいはできそうだ。
でも、彼女も私と同じ分、歳を重ねているのだから、現実に「よしよし」する必要はないと思いたい。
今日は、とりとめのない話を書いてしまいました。
読み流してくださいφ(.. )