大学1年の夏休み。
家には、見知らぬ男性が入り込んでいました。


父が亡くなって半年。
この変化に、私の気持ちはついて行けなく
なりました。


当時の母は、その人を、まるで下宿人でも置いて
いるかの様な素振りでしたが。


当時、多感な私には、母の行動がどうしても受け
入れられなかったのです。


その人は、保険の外交をするのに、
夜、家に人が帰って来る時間帯に訪問
するので、自分の田舎の自宅では行き
づらい。だから、お邪魔させて貰って
いる。



そんな風に話していました。


でも、そんなのは、言い訳で。
母が、父の居なくなった後自分を
支えてくれる男性として彼の事を
頼っているのが、伝わって来るのです。


女同士の感。


父がいる時とはまるで違う母の変わり様に、


専業主婦じゃあ、食べていけないんだ、
と強烈に思いました。


私は、大学卒業したら、ちゃんと就職して、
男に頼らない人生を送ろうと。


母が反面教師でした。


母は、最初は農協の事務。ケーキ屋さんで
花を販売。
デパートの喫茶店の経営等、次々と職場を
変えていきました。


当時、母は40代でしたが。
娘の私から見ても、とても華のある人で。


元々商売人の家で育った人ですから、客商売に
向いていました。


デパートの喫茶店を切り盛りする頃から、
母は、家に帰って来なくなりました。


私は大学生、弟は高校でした。


今のように携帯電話もありません。
家に帰っても、いつ母が帰って来るのか
と、寂しい気持ちで一杯でした。


母は、そんな私達の気持ちも省みず、
市内の金持のお爺さんの家に転がり
込んでいました。


団地から毎日、市内のデパートに通う
のが大変だからと。


喫茶店に来ていた常連の、奥さんを亡くし
た、自分の父親の様な年のお爺さんの所
から、仕事に行っていました、



母が帰って来なくなると、家に居候していた男性は、
さすがに来なくなりました。