最近、あすなろ坂も読んでいます

 

あすなろ坂・・こちらも、ドラマチックで、大好きな話です

 

読んでいて、ふと、詩絵と、忍のことを書きたくなりました

 

二人とも、主人公の孫です


詩絵は、強気でとても積極的、女優になろうと決心して生きていく少女です

 

忍は対照的に、おとなしく、控えめで、でも芯の強い少女です

 

二人は姉妹で、詩絵が姉、忍が妹・・

 

二人は同じ人を好きになるんです

 

詩絵は、積極的に気持ちを伝え、相手の心をこちらに向けようとします

 

でも、忍は、詩絵も自分と同じ人が好き、と知ると、詩絵を傷つけたくなくて、その思いを封じてしまおうとします

 

それでもやっぱり好きで・・・

 

振り向いてもらえなくても、満足しなきゃ・・と自分に言い聞かせる忍です

 

 

 

 

詩絵の性格がよく出ている、とても好きな場面があります

 

それは、劇を毎日見に来ている源(ウォン)というお客様からの花束を手にして、忍と交わした会話・・・・

 

その時点で、忍も、詩絵も、お互いに同じ人、(演劇作家の秋月)が好きだと知ってしまっています

 

・・「あの方、(源のこと)本当にお姉さまが好きなのね。でも、好かれていないと分かったら傷つくでしょうね。」という忍に、詩絵は、「きれいなばらをとろうとすればそれだけで傷つくわ。見つめるだけなら傷つかない。でも・・恋をしたらいつも傷つく覚悟でいなくちゃ・・。」と言います

 

それを聞いた忍は、「・・ねえさまはばらみたいね・・・ほんとに」と、言うのです


でも、詩絵は「ちがうわ・・わたしのばらは・・」


「私は、いくら傷ついても、ばらを手折りたい・・」


この言葉の意味は多分こんな感じ


「私は、薔薇じゃない。私の薔薇は、あの人・・そして、どんなに傷つくとしても、あの人に愛されたい、あの人の隣に行きたい。傷ついても私は薔薇(あの人)を得たい」


このセリフに、詩絵の華やかな見た目や態度と裏腹の、傷つきながらも相手を求めようとする、そういうけなげともいえる、強さが現れていると思います

 

この言葉が好きです

 

薔薇のようだと言われたら、嬉しくなっちゃうけれど、詩絵は自分をそうだと思っていないんですね

 

美しい人はそれだけでも好かれる気がして羨ましいけれど、それだけじゃない、傷つく勇気を持たず、相手に気持ちを伝えようとしないなら、たとえ美しくても、愛を捕まえられないのかも・・・

 

詩絵のこの言葉、詩的で、美しいと思います

 

 

 

それに対し忍の美しさは、奥ゆかしい所にももちろんあるけれど、忍も、詩絵に、負けず劣らず強い人だったと、私は思っています

 

忍ははじめ、想いを秘めていようとしますし、健気に、姉のため、自分を押し殺そうとします


この時の忍にも、辛いのに誰にも何も言わず一人で耐えてるので、強さを感じるのですが・・・

 

この後、詩絵と付き合っていた秋月が、詩絵との意見の食い違いなどを通じて、自分がひかれていたのは、女優としての詩絵であったことに気づき、詩絵にそのことを告げて別れます(このことで、詩絵は辛い思いをするんですが)


そして、徐々に惹かれだしていた忍に想いを伝えます

 

その秋月を最初は姉のために拒むものの、やがて受け入れる忍

 

そうして、秋月と一緒になった後の忍に特に、芯の強さや、すごい勇気を感じるんです

 

例えば、秋月が、政府を非難する主張をするようになって、追われるようになり、外国に亡命する時、お腹には子供も居るのに、命を懸けて、ついていったりします

 

生半可な勇気じゃできっこないと思います

 

そして、それだけ秋月を想っている忍・・・

 

そして、二人は、満州へまず、逃げて、とある民家で、子どもが生まれるまで隠れて過ごします


そして、子どもが生まれたとき、忍は、ついてきてよかったと、あなたにこの子を抱いてもらえたと、喜びます


危険な、隠れて生活する状況で、夫とともにいること、家族でいることに幸せを感じられる忍・・・


生まれた子を、二人はみどりと名付けます

 

でも、間もなく二人は、追手に見つかり、逃げることに


絶望的な状況に置かれ、秋月は、赤ちゃんと、忍を守るため、二人を置いて、追手のいる方へ、行きます

 

その時、忍はともに住んでいたロシア人の子供に赤ちゃんを託し、「みどりをお願いね」と言って、秋月の後を追い・・

この後、秋月と共に、撃たれてしまうんです


そして・・・

このシーンが辛くて・・


この後秋月も・・

 

でも忍が最後まで秋月への愛を貫いたシーンです

 

やっぱり忍もすごく勇気のある、強い女性だったのだと思います

 

最初ここを読んだときはものすごいショックでした

 

今も、読むと辛いです

 

あすなろ坂、辛いシーンも多いけど、そういうシーンを、あえて、避けずに書いてある気がします

 

人生というものをリアルに、この人がこういう生き方を貫いたら、こうなるだろうと思うものを、悲劇や悲しい出来事も避けずに書きたかったんじゃないかと思います

 

だからこそ、心に響くというか胸を打つ物語なんじゃないかな、と

 

それに、色んな性格の色んな人の生きざまというものを、見れる気がします


決して恵まれてると言える状況でなくても、辛いこと悲しいことがたくさんあっても、一人一人が、精一杯、自分の人生を生きていて、その、生きる姿勢に、毎回、感動させられます


羨ましくなってしまうくらいに・・・


決して、つらい出来事を経験したいというわけではないけど、その一生懸命に生き抜く姿がかっこよくて、美しくて、あんなふうに生きてみたいと思ってしまいます


あすなろ坂、そんな物語です


また、書くかもしれません

 

読んでくれてありがとう^^

 

では