ここ何日間かかけて、何度目かわからないけど、オルフェウスの窓を最初から最後まで読み終わりました。

終わってみて、やっぱりつらい、悲しすぎて、しばし気力が抜けて、あまりの悲劇にやるせない、気持ちになりました。

 

一番こたえたのは、やっぱりユリウスの人生です。

 

以下、ネタバレになります。

 

ユリウスは小さな時から自分であることを許されなかった(女として生きられなかった)

それだけでも可哀想なのに、ゆすられていた母を守ろうと、大きな罪まで犯してしまいます。

 

それゆえにたえず、ユリウスはそのことを知られないようにびくびくして過ごすことになるのです。

 

もちろん、ユリウスの周りには助けようとしてくる仲間や、母がいて、それで少し救われるのですが、そのあと復讐劇など、いろいろなことがあり、次々に周りの人が死んで、母さんまで死んでしまい・・

 

この時点からユリウスは自分を保つのに必死で、少し不安定な感じ。

 

この状況に耐えられなくなったユリウスは、恋しい人、クラウスがいるロシアへ向かいます。

そこでもいろんなことがありました。

 

クラウスに巡り合ったときも、クラウスは追われていて、自分のことなど忘れろと言い残していってしまい・・

 

その直後、記憶喪失になったユリウスはまた長い年月ののちに、ふたたび巡り合ったクラウスのことがわからなかったのです・・。私にはそれがすごいショックでした。

 
 
それでも、二人は愛し合い、夫婦になる・・このあたりがユリウスの一番幸せな時期だったんじゃないかな。
でも、ユリウスは何も思い出していないのです。
それがすごくつらかった。
 
 
そして、結局記憶が戻らないまま、クラウスは死んでしまう。

 

 

それもユリウスにとっては、自分のせいでクラウスの変装がばれた、そのせいで死んでしまったという状況・・

 

愛する人が自分のせいで、目の前で撃たれて、川に落ちて・・

とても‥耐えられない。

 

そして、ユリウスは精神的に普通ではなくなってしまい、故国に戻ってきます。

 

そして家では、腹違いの姉や、昔の仲間たちが、、ユリウスを気遣ってくれますが・・・

 

ずっとユリウスは記憶ももどらないままで・・

 

 

そのユリウスがやっとすべてを思い出し、すべてを受け止めたその時は、ユリウスが死ぬ時でした。

 

ずっと復讐の機会をうかがっていたある人に、殺されてしまうんです。

 

これだけ書くと、とても悲しいばっかりに思えますが、この物語、私はほんとは、大好きなんです。悲しくて辛いけどなぜかひかれます。実際、魅力的なキャラクター、がいっぱいいたり、史実にそって、すごく壮大な漫画で、訴えるものがあってとても好きなんです。・・・が、あえてユリウスの悲しい人生に焦点をおいて、書いてみました。

 

だって、私は、大好きな話だからこそ、ユリウスが幸せになるのを見たかった><

だから、あの最後は今でもトラウマものなんです。

 

そんなお話ですが、そのクライマックスで、二つ、好きなセリフがあります。一つ目はユリウスが死ぬシーン、ユリウスの言葉です。

ずっと昔にユリウスがしたことの、復讐にあって、落とされた川の中で、思う言葉・・

 

「・・・教えてよ 人は初めからそんなにも大きな罪を背負って生まれてくるのか 

 たとえこの肉体で罪をあがなうことがあったとしても 

ではいったい、魂がこんなにも痛みを耐えながらたどってきた思いの数々はどこへ行ってしまうのだ 

あの苦しみはどこへ・・  あの悲しみはどこへ・・ あの天地の裂けるばかりの愛はどこへ・・!」

 

これを読むといつも、すごく切ない、悲しい気持ちになります。痛いくらい、ユリウスの気持ちが伝わってきます。

 

そしてもう一つ・・

 

クライマックスのユリウスの言葉のすぐ後に、同じ学校で、親しかった、ダーヴィト・ラッセンの言葉が続きます。

 

「人間と人間のふれあいというものは、あるいは一種の幻想なのかもしれない。究極一つの魂が自分のものでないもう一つの魂を完全に理解するなどということは、あり得ないのだから 幻滅が苛酷ならはじめから望まねばよい 傷つくのがつらいなら、はじめから失いたくないものなどもたねばよい 愛さねばよい 望まねばよい 感じねばよい そうだ 今この瞬間の自分の生をさえも期待しなければよいのだ  

 ・・・けれど、そうしてゆくえを失った魂は、やがて自分の内なる狂気の世界へしか解き放たれ得ない 魂を狂気の中へ解き放たずにいるためには、たとえ失望し、傷つくとわかっていても、人は愛し、希望し、感動せずにはいられない とどのつまり人間の魂というやつは、傷つくようにできているというわけだ・・!

 

 

この言葉も、すごく深くてすごくよくわかります。

 

一つ目の好きなところは、

 「幻滅が苛酷ならはじめから望まねばよい 傷つくのがつらいなら、はじめから失いたくないものなど もたねばよい 愛さねばよい 望まねばよい 感じねばよい」 のところ。

 

すきっていっていいのかわからないけど、ちょっと昔の私の気持ちほぼそのままです。

 

人を信じたり、愛したりすることが難しく感じる、私。

傷つくのが怖くて、いつからか、何事も引いて考えるようになった。

そんな私だから、自分のしている何も希望しない、愛さない、ことが、こういうことをしていたんだと、わかったりしました。

 

 

そしてもう一つの好きなところは・・そのまんまですが

 

魂を狂気の中へ解き放たずにいるためには、たとえ失望し、傷つくとわかっていても、人は愛し、希望し、感動せずにはいられない

 

昔初めてこのセリフを読んだとき、何も期待しない、求めないようにして心を閉ざしていると、おかしくなってしまうんだ・・そうしちゃいけないんだ・・!って、知ってびっくり。それが、自分を守るために、必要だと思ってたから。

 

 

傷つくとわかっていても、愛し希望し・・そうする勇気が欲しいと思いました。

 

それと、そんな風に生きてる周りの人をみて、すごいとも思いました。

 

傷つくとしても・・愛そうとする、失望するとしても・・希望を持とうとする、そして、感動せずにはいいられない・・それって、人間だからこそできるのかな。

 

そうして、傷ついても、それを受け止めて、しっかり地面に立たなきゃ、正常に、人間として生きることはできないんですね。

 

やっぱり、この言葉大好きです。

 

すごく私に影響を与えてくれたかも。

 

そうそう、オルフェウスの窓、好きなキャラクターいっぱいいるんです。

 

今回読んで、前よりも、好きなキャラクターが増えました。(^^♪

 

今度また載せるかもしれません

 

読んでくれてありがとう^^