パリから1時間ほど離れたコンセルバトワールで
期末試験の審査員をしてきました。

クラリネット、オーボエ、フルートのクラスの
学期末試験で、午前中に始まった試験が終わったのは
夕方5時を過ぎていました。
試験を受けた人数は60名ほど。

フランスの試験やコンクールというのは、
担当教授以外の外部の先生が審査を担当し、
当日その場で結果を発表し、講評を聞けるという
公平なシステムなので、
それぞれのレベルの生徒さんたちが吹き終わるたびに、
審査員は別室に移動して、審査。協議。

ディプロムをあげるかどうかを決めて、評価を総合し、
生徒(子供の場合は保護者の方も)を
部屋に呼び入れて、結果発表。一人づつ
講評を言います。

本当にいろんな生徒さんがいます。
全員、本当に一生懸命で、
技術的にはまだまだでも、
ちゃんと気持ちが伝わってきてました。

担当教授達のお人柄や指導の様子も
手に取るように解るものです。

大きなホールで演奏した今日のことを
皆さんきっと一生忘れないことでしょう。

学長が講評の中でおっしゃっていました。
「よく親御さんは子供に楽しみを与えたいから音楽教育をしたいと言います。
 でも、私は、気晴らしや楽しさのために音楽を学ぶとは思いません。
 音楽を学ぶというのは、もっと深いものです。

 私は、自分の楽しみのために音楽に向かっているのではありません。
 音楽というのは、厳しい練習の末に、
 演奏者も聴衆も幸せを感じる事のできる瞬間が訪れるものです。
 それは、どんなレベルの生徒でも同じで、
 練習というのは、決して楽しく感じないことも多いですが、
 一見楽しくない練習を続けていると、自分も周りの人も
 幸せにできるものなのです。」

学長は、世界一流のオーケストラでも演奏する
現役演奏家です。

こういう大きなコンセルバトワールには、
何千人も生徒がいるので、
このペースで全ての楽器、そしてなんとダンスの試験の
審査もするのだそう。
(たいていの公立コンセルバトワールには、
 音楽家とダンス(バレエ)科があります。)

私は、たったの1日でもうへとへと。

ダンスの試験だけでも80名以上いたよ。
ということでした・・・。

こういう方々は、いったいにどうやって体力を維持しているのだろう。
と、不思議でたまりません。

でも、こういう仕事は、エネルギーが回るので、
へとへとなのに、なんだかどこかが覚醒してくる感じ。

個人的には、いろんな意味で、
まだまだだなあ私。と、反省しきりなのですが。
(審査をするって難しいです。甘過ぎても厳しすぎてもだめだし。
 その場でぱっと、的確な講評やアドバイスをするって、簡単じゃない。
 しかも、先輩の担当教授も、えらい先生方も親御さん達も
 何十人もがじーっと聞いているのですから。)

でもそんなことは、生徒達には関係ないのだから、
ディプロムのもらえなかった生徒もあまりがっかりしすぎず。
一つでも何か演奏上のヒントを得たり、やる気になったり
音楽を好きになったりしてくれたらいいなという一心でした。

ところで、今回行ったのは、
いつもノルマンディーに行く時に通る駅の
コンセルバトワールだったので、
なんだか親しみがあって、
依頼していただいた時から、楽しみにしていました。

学長が他の審査員といっしょに
パリから往復車で送ってくださったのですが、
こうして多くの演奏家、教師の方々のお話を伺うことが
できるのが、何よりも勉強になります。

素晴らしい出会いに感謝です。

・・・今週は、どういうわけかマックスに忙しく。
毎日毎日、仕事で東西南北パリ郊外に出ています。

完全に限界を超えているのだけど、
意外と大丈夫みたい。頑張れ私。

mも今週末は、フォンテンヌブロー城の展示会に
出店しているので、連日大忙し。

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paris暮らし