先日のレッスン通訳で教授が、
大事なコンクール直前のレッスンの
生徒におっしゃっていたこと。
レベルの高い生徒さんなので、
ノーミスで技術的には問題なく1時間以上の
課題曲がすでにすぐに演奏できるよう準備されていて、
仕上げという段階のレッスンですが。
音色、音楽性を突き詰めるのは、
ここからが大事なところです。
緊張感の漂う2時間以上のレッスンでのアドバイスは、
とても興味深い言葉で溢れていました。
「まず、大事な本番直前だからと急に生活を変えない事。
練習量も、いつもと同じ量で通しなさい。
普段から毎日4-5時間さらっているなら、そのままで。
睡眠時間も同じでよい。
いつもやっているのに、急にやらないことを
作ると、暇な時間ができて、人間は心配したり、
よけいなことを考えるものです。
急に体調を変えたり、食べるものを変えたり、
睡眠時間を変えたりしないこと。
もう曲はできているのに、
今から慌てて、コンクールコンクールと
精神的に自分を追い込むのはやめなさい。
常にいつも通りの自分自身でいること。(本番でも同じ自分で。)
いつもの自分以上の人間に急になろうとしないこと。
いつも以上の演奏をしようと考えない事。
(前日の段階ですでに最高の演奏が準備されているのだから、
それと同じことを舞台の上でやるだけと、体に覚えさせておく事。)」
「一番大切な事は。
心のこもっていない音というのが
たったの1音でも、
存在してはいけないということです。
どんなに技術的に難しいことができていても、
楽譜に書いてある事、
先生に言われた事が完璧に全てできていも、
そんなものは、音楽でもなんでもない。
演奏者の人間性、個性、魂、心がこもっていなければ、
そんなのただのパフォーマンスで、音楽ではない。
演奏をするというのは、
難しいことを練習してできるようになったことを
披露する場ではないのよ。
心と感情をこめて、あなた自身を
音楽にのせて、人に与える行為。
ビブラートを速くしたほうがいいと言われたから
ビブラートが速いのではない。
この箇所は音楽的に感情が高まっているから
音も大きく、ビブラートが速くなる。
その感情がベースになければ、何の意味もないでしょう。
それを忘れて演奏するくらいなら、
音楽なんてやめてしまいなさい。
うまくやろうとか、間違えないで吹こうなんていう
雑念を音楽にもちこまないでちょうだい。
あなたの練習の成果なんて、
聴衆はどうでもいいの。
私は、音楽が聞きたいのよ。
あなた自身が自分の内側に感じている感情。心。
その感情や心を込めて自然に表現している
音楽。それが、音楽の魂なの。
魂のこもっていない音楽は、死んでいる音楽。
どんなに技術的に優れていても冷たい音楽なんて、
私は一番嫌いです。
そのためには、何をするかというと、
毎日の練習の時に出す基礎練習の
たったのひとつの音から心を必ず込めると誓う事。
急に本番だから、心を込めようとするからおかしなことになるの。
もっと言えば、本当は日常の全ての行為にも心を込めて生きるべきよ。」
「本来の表現というのは、
シンプルで純粋で、誠実なものです。
おおげさに派手に見せるための、
わざとらしいビブラートや、
作為的な演出をさけて、
音楽そのものの美しさに誠実にいて下さい。」
「自分自身でいるというのは、
いつも自分らしくいるということです。
自分の感情に誠実に生きていればいいのです。
日常で起きることに対してわき起こる感情を
普段からよく感じて下さい。
知人や家族が亡くなった経験があるのなら、
その時の激しい悲しい感情を全て悲しい楽章に込めるのです。」
こんな風に、指導して下さる先生は、
とても稀なのですが、
この先生に習っている生徒達は、
音と顔つきがみるみる変わっていきます。
あどけなかった、幼い顔が、
意思を持った大人の顔つきに。
不安定だった音が、
しっかりと美しい豊かな音に。
もちろん、この20年、素晴らしい師に
大勢出会ってきましたが。
良い教師、演奏家って本当にすごいなあ。
こういう教育者になりたい。
こういう演奏がしたい。と、
この年でさらに
心から尊敬できる教授に出会えて、
私もさらに目指す方向がクリアになってきました。
そういう意味で、今年は本当に幸せな年でした。
日常の全ての行為に心を込める。
常に自分自身でいること。
この言葉は、全てのジャンルの人にも共通しているなあと
思います。
(長文、最後まで読んで下さってありがとうございます。)

ブログランキングに参加しています。
今日もご訪問、応援クリックありがとうございます。

大事なコンクール直前のレッスンの
生徒におっしゃっていたこと。
レベルの高い生徒さんなので、
ノーミスで技術的には問題なく1時間以上の
課題曲がすでにすぐに演奏できるよう準備されていて、
仕上げという段階のレッスンですが。
音色、音楽性を突き詰めるのは、
ここからが大事なところです。
緊張感の漂う2時間以上のレッスンでのアドバイスは、
とても興味深い言葉で溢れていました。
「まず、大事な本番直前だからと急に生活を変えない事。
練習量も、いつもと同じ量で通しなさい。
普段から毎日4-5時間さらっているなら、そのままで。
睡眠時間も同じでよい。
いつもやっているのに、急にやらないことを
作ると、暇な時間ができて、人間は心配したり、
よけいなことを考えるものです。
急に体調を変えたり、食べるものを変えたり、
睡眠時間を変えたりしないこと。
もう曲はできているのに、
今から慌てて、コンクールコンクールと
精神的に自分を追い込むのはやめなさい。
常にいつも通りの自分自身でいること。(本番でも同じ自分で。)
いつもの自分以上の人間に急になろうとしないこと。
いつも以上の演奏をしようと考えない事。
(前日の段階ですでに最高の演奏が準備されているのだから、
それと同じことを舞台の上でやるだけと、体に覚えさせておく事。)」
「一番大切な事は。
心のこもっていない音というのが
たったの1音でも、
存在してはいけないということです。
どんなに技術的に難しいことができていても、
楽譜に書いてある事、
先生に言われた事が完璧に全てできていも、
そんなものは、音楽でもなんでもない。
演奏者の人間性、個性、魂、心がこもっていなければ、
そんなのただのパフォーマンスで、音楽ではない。
演奏をするというのは、
難しいことを練習してできるようになったことを
披露する場ではないのよ。
心と感情をこめて、あなた自身を
音楽にのせて、人に与える行為。
ビブラートを速くしたほうがいいと言われたから
ビブラートが速いのではない。
この箇所は音楽的に感情が高まっているから
音も大きく、ビブラートが速くなる。
その感情がベースになければ、何の意味もないでしょう。
それを忘れて演奏するくらいなら、
音楽なんてやめてしまいなさい。
うまくやろうとか、間違えないで吹こうなんていう
雑念を音楽にもちこまないでちょうだい。
あなたの練習の成果なんて、
聴衆はどうでもいいの。
私は、音楽が聞きたいのよ。
あなた自身が自分の内側に感じている感情。心。
その感情や心を込めて自然に表現している
音楽。それが、音楽の魂なの。
魂のこもっていない音楽は、死んでいる音楽。
どんなに技術的に優れていても冷たい音楽なんて、
私は一番嫌いです。
そのためには、何をするかというと、
毎日の練習の時に出す基礎練習の
たったのひとつの音から心を必ず込めると誓う事。
急に本番だから、心を込めようとするからおかしなことになるの。
もっと言えば、本当は日常の全ての行為にも心を込めて生きるべきよ。」
「本来の表現というのは、
シンプルで純粋で、誠実なものです。
おおげさに派手に見せるための、
わざとらしいビブラートや、
作為的な演出をさけて、
音楽そのものの美しさに誠実にいて下さい。」
「自分自身でいるというのは、
いつも自分らしくいるということです。
自分の感情に誠実に生きていればいいのです。
日常で起きることに対してわき起こる感情を
普段からよく感じて下さい。
知人や家族が亡くなった経験があるのなら、
その時の激しい悲しい感情を全て悲しい楽章に込めるのです。」
こんな風に、指導して下さる先生は、
とても稀なのですが、
この先生に習っている生徒達は、
音と顔つきがみるみる変わっていきます。
あどけなかった、幼い顔が、
意思を持った大人の顔つきに。
不安定だった音が、
しっかりと美しい豊かな音に。
もちろん、この20年、素晴らしい師に
大勢出会ってきましたが。
良い教師、演奏家って本当にすごいなあ。
こういう教育者になりたい。
こういう演奏がしたい。と、
この年でさらに
心から尊敬できる教授に出会えて、
私もさらに目指す方向がクリアになってきました。
そういう意味で、今年は本当に幸せな年でした。
日常の全ての行為に心を込める。
常に自分自身でいること。
この言葉は、全てのジャンルの人にも共通しているなあと
思います。
(長文、最後まで読んで下さってありがとうございます。)

ブログランキングに参加しています。
今日もご訪問、応援クリックありがとうございます。
