楽器を演奏していると
楽譜には特に書いてなくても
ここでほんの少し
何千分の一秒
間があいてしまうという箇所が
自然にでてくる。

例えばピアノなら低音から高音に
手を大きく移動させるときに
自然に間(ま)ができるし、
弦楽器なら弓の動き、
管楽器なら呼吸、指、口の動きに
制約があるから。

どうしても、離れた音に移行する前などで、
少し間ができる。

ところが、不思議なことに
(というか、よくできていることに)
実は、その間は、たいてい
音楽的にも
ここでほんの少ーーーし間をあけるべき、
という箇所と一致するものなのです。

例えば、ダンサーが跳躍する前に
膝を曲げてジャンプの準備をする間、
大きな声を出す前のおもいっきり息を吸う間。

大切な台詞を言う前に
ちょっととまどったり
大切だからこそ
ほんの少しだけ遅れてから発音する言葉。

こういう間にこそ、
実は、その人の人生経験や思いが
込められるもの。と、
常々思っている。

若い演奏家は、
どんどんこの間をつめて、
速く派手に演奏することに気を取られたりするけれど、
音楽的にも円熟し、
人生経験豊富な人ほど
間の取り方が美しい。

間の取り方を毎回変えて楽しむほどの
余裕があったりする。

細かい音がたくさん楽譜に書いてあると
人間の心理として
「うへー。難しい。」とか
「間違えないように」
と思うものですが、
音がたくさん並んでいる中に、
メロディーが隠されていて、
そのメロディーの中にも特に大切な音が隠されている。

その大切な音を出す直前の間に
込めるもの。

間の取り方に神経を使う。

つまり、出している音以上に
音をだしていない瞬間を大事にする余裕があると
俄然、音楽が自然に流れ出す。

これは、生身の人間にしかできない。
そのときどきの絶妙の間のとりかたが
音楽を活かすということ。

間のほうが大事なんて、
なかなか気がつかないけど。
会話なんかもそうかもしれません。

先日も、パリ市立音楽院教授の
レッスン通訳をしていて
同じようなアドバイスがあり、
やっぱりそうだなあ。と、確信したので、
忘れないように書いておこうと思って。

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空が綺麗でした~。
paris暮らし