楽譜を読むときに、大事なことは、
ポイントを見つけることです。

やみくもに、書いてある音を並べて
吹いてみてもだめなんです。

曲の頂点になる箇所を見つけて、
そこに向かって音楽が進むことを
最初のフレーズから意識すること。

メロディーって、必ず
大事な強調する音と、
そうでない音があるから、
(言葉でいうところのアクセントのような。)
その強調する音を少し長めにして、
体重をかけるような感じにすると
丁度いい。

フレーズというのは、大抵、
いくつかのモチーフからなっていて、
決まったモチーフ、
AとBが交互に出てくるとか、

「あ、またAが出てきた!」という
小説や台本で言うなら
決め台詞のような大事なポイントがみつかるから、
そのポイントを意識すること。

そうやってアナリーズしながら楽譜を読み出すと、
不思議なくらい、作曲家の書きたかったことが
浮き上がって見えてきます。

このフレーズの頂点はここだから・・・・
この音を強調するでしょ。

じゃあ、そこに向かう一番最初のきっかけは、
どこからだ?と、大きなフレーズの最初の音から
目指す目標が見えてきます。

時には数ページ前に
さかのぼったところから
きっかけが始まっている場合も。

出発点と向かうべき道が見えてくると
テンポや表情、雰囲気、音色と、
進み方が決まります。

そういうのをみつけていく作業が、
何より楽しく、大切なこと。

音楽家というのは、
舞台に表現者として立っていれば
なんだか派手に見えるけれど、

一番長い作業は、職人のように
一人でこつこつと楽譜と向き合うこと。

もちろん楽譜を読む基礎力は
音楽学アナリーズの授業などで学ぶことだけれど、
実際の演奏に活かしていくのは、自分自身。

自分なりのアナリーズ、
曲の解釈を作ってから
レッスンにもって行ったり、
人の演奏を聞いたり、
合わせをしているうちに、
新しい解釈が見えてくるから
クラッシックはおもしろい。

同じ曲を何百回演奏しても、
毎回違うところがあるんです。

ときどき、レッスンや合わせの最中に、
ひらめきがやってきて、

「解った!このフレーズのこの音だ!
 この音がポイントだから、
 この音に向かってクレッシェンドして、
 テンションもここに向けてもりあげる。

 頂点の音をちょっと意識して長めに!
 ほ~ら、繋がった~~~!」と、

ものすごくすっきりと、曲全体がまとまったりします。

それまで、なんだか解らないけど、
しっくりこないと思っていたのが
拍子抜けするほど、音楽が綺麗に流れ出す。

だから、室内楽の合わせで呼吸が合わない場合は、
「ちょっとここすっきりしないんだけど、
 原因はなんだ?」と探して、
ポイントを見つけたり、確認しあう。

ちょっとしたブレスの位置などの調整やポイント確認で、
あっという間にまとまったりします。

例えば、テンポやメロディーを決めるのは、
アウフタクト
(小節のひとつ前の音からメロディーが始まる最初の音)
のたったのひとつの音の扱い方ひとつ。

もっと言うなら、その最初の音の前の休止の感じ方
ブレスの感じ方ひとつで、曲全体が決まります。

もしかすると、
会話や人生も、そんなことあるかも・・・ですね~。

何かがしっくりこない場合、
まず物事のきっかけとモチーフ、
向かうべき目標ポイントを探って呼吸を合わせてみると、
突然何かがスムーズに流れるかもしれません。

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写真は、母校でもあるエコールノルマル音楽院内部。
paris暮らし