川勝良一監督へ | 上岡真里江のまりえない話

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Hola!
Cuant tiempo.

2012年9月6日、川勝良一監督の辞任が発表となりました。
今回だけ、あえて呼称を変えずに“監督”のままで書かせてください。

この報告を受け、最初、「残念だなぁ」とだけぼんやり思っただけで、事実をあまり現実的に感じることができなかった。でも、選手たちからコメントをいただき、川勝監督と最後の挨拶をさせていただいたあとから、じんわり、じんわり、じんわりと寂しさと無念さが心に響いてきました。そして、今もその途中です。

どんどんどんどん、川勝監督との2年半が思い出されています。

何をおいても言えるのは、私は川勝監督のサッカーが大好きでした。
2010年、ヴェルディが消滅危機にあった中、「いつもこんな時だけ俺のところに話がくる。でも、それも縁だと思うから」と、クラブの問題もすべて引き受けた川勝監督。
他クラブとは恐らく比べ物にならないほどの悪条件だったにもかかわらず、そんな指揮官の熱意に引き寄せられ、苦境を乗り越えてみせようと誓った、混じりけない“ヴェルディ愛”と“川勝ism”に満ち溢れた選手たち。
『貧しいけれど楽しい我が家』。『サッカーは背じゃない』と謳ったことば通りのチームの雰囲気が、本当に、本当にたまらなく好きでした。

そんな、川勝ヴェルディ立ち上げから約2年半の月日が流れました。紆余曲折はあったにせよ、「自分が担当するチームのサッカーが面白くて大好き」だという、担当ライターとして最高に誇らしい毎日を過ごさせていただきました。
他のチーム担当者から、何度「羨ましい」と言われたことか。その度に、「ホントに幸せだな」と思ってきました。
毎日の練習、そして毎試合でどんなサッカーが見られるのか。取材が楽しみで仕方ありませんでした。この2年半の間に、私は何度も川勝ヴェルディのサッカーに心躍らせ、魅了されました。楽しかった。本当に。

川勝監督は「感謝しかない」と、囲み取材の最後を結びました。そんな監督に、こちらこそ「感謝しかない」です。ホント。だって、こんなにも思い出を残してくれたのですからね。

それでも、生きているのは勝負の世界。結果がでなければ、排他されるのは致し方のない過酷な世界です。
首位に上ったこともあった今季途中まで、順調に進んでいるように感じていました。でも、残念ながら変わってしまった。
「どこで、どうして…」愚問を承知で某選手に問い、その答えをお聞きしながら、申し訳ないことに、思わず涙をこぼしてしまっている自分がいました。
「泣くなよ」
「すみません」
「頑張ろう」
「信じてついていきます」
握手を求め、差し出していただいた手を握り返し、J1昇格への想いを託させていただきました。

他の選手のみなさんからも、「申し訳ない」「悔しい」の言葉が相次ぎました。
その無念さを、絶対、絶対に結果として形にしていただきたいです。

「昇格を決めて、いつか引退したら、ケツさんとその話をしながら飲んでみたいなぁ」。
ポツリとつぶやいた佐伯直哉選手の言葉が、とても心に響きました。
誰よりも早く自主トレを開始し、今季をスタートさせながらも、ケガでここまでピッチに立てていないご自身。「ケツさんがいた約30試合、何もサッカーで貢献できなかったことが申し訳なくてたまらない」自責の念と、残り試合への思いは相当強そうです。
新たに生まれたその夢が、ぜひ実現できますように。


何度も言うようですが、消滅危機から生まれたチームだっただけに、私の人生の中でも思い入れが非常に強いチーム、そして監督でした。それは、この先も一生変わらないと思います。
公私にわたり、本当にいろいろな勉強をさせていただきました。

川勝良一監督。
今後、ますますのご活躍を心からお祈り申し上げます。
本当に本当にお世話になり、ありがとうございました。

お疲れさまでした。

(2010年12月撮影)

上岡真里江 拝