ハーブの一種、タイム

 

花粉症のせいで、春はどちらかというと苦手だ。最近の天気予報には花粉情報も含まれ、ここ数日「極めて多い」という表示が出続けている。外出は控えねばと言い聞かせているが、この陽気、狭いながらも庭の様子が気になる。玄関アプローチ周辺の観測は、日々楽しい。朽ちた葉っぱや早くも顔を出し始めた雑草などを、ざっと取り除いた後の地面に目を凝らす。ややっ、ベビートカゲの姿が。落ち葉の間で、ひっそりと薄茶色の小さな体を丸め、じっとしている。もう、産まれたのかい、君は。それとも、冬眠から覚めたばかりか。日向ぼっこしているような。

 

一番好きな植物は、ハーブ。今の家に越してきた頃、ひそかにブリティッシュ・ガーデンに憧れて、ミントやローズマリーを植えた。丸い葉っぱのアップルミントは甘い香り、オーデコロンミントはすっきり爽やかな香りを放つ。ほんの10センチほどだったローズマリーの苗は、今や堂々たるブッシュに成長し、一年に幾度となくピンクの小花をつける。私の数少ないレパートリーのひとつであるポークとポテトのオーブン焼きを作る際、ローズマリーの小枝を5本手折って食材の上にのっける。ポークの臭みを取ってくれるのかもしれない、独特の強い香りを振りまく。時々収穫するオレガノは、さっと水洗いし、新聞紙に広げる。それを車の後部座席に放置しておく。しばらくすると、カラカラに乾燥したオレガノ香辛料の出来上がり。手で揉んで、細かくしたものを、ガラス容器に入れて保管する。こちらは、レモンチキンをオーブンで焼く時の材料になる。特徴のある草っぽい素朴な匂いを放つ、やや泥臭い類のハーブと表現できるかもしれない。

 

私が一番好きで、大事にしているハーブはタイム。今年も嬉しい姿を見せている。枯れてしまったかもしれないと思わせる、極細の硬いベージュの糸状の茎から芽を出し、次第にシンプルでごくごく小さい濃いグリーンの葉っぱにまで成長する。ここにも、あそこにも、忘れかけていた場所から、かわいらしい姿を現す魔法のハーブ。窓の下のスペースによくよく目をこらすと、不思議なことに、ここのタイムの葉っぱの一部が黄色に変色している。ひょっとして、これ、レモンタイムと呼ばれる種類だったのかもしれない。レモンタイム、名前を口にするだけで、驚きと喜びが広がる。ハーブは雑草みたいなもので、長く強く生き続けてくれるとも言う。私にとってハーブは、どこまでも飽きることのない魅力的な植物だ。

 

I love growing herbs; in particular, I have long been attracted to cute little thymes.  In this time of the year, that is, very early spring, I look forward to finding their new leaves here and there in my tiny garden.  To my surprise, some of the young thyme leaves have lovely yellow surfaces. Maybe, maybe, this batch has turned to "lemon thyme" by some kind of magical nature work.  Who knows?  Certainly, a happy discovery!